「1LDKの賃貸に住んでいるが、寝室にエアコンがない」
という悩みを抱えていませんか?
夏になると、冷房の効かない部屋で過ごすことは大きなストレスになります。
特に寝苦しい夜は、健康面や生活の質にも影響します。
しかし、賃貸住宅ではエアコンの増設が自由にできず、我慢するしかないと考えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、一級建築士としての知見を活かし、
「エアコンが1台しかない1LDK」でも快適に過ごせる実用的な対策法をご紹介します。
管理会社との交渉方法から、
サーキュレーターや厚手カーテン、ポータブルクーラーの活用術まで、
誰でも取り入れやすいアイデアをまとめました。
賃貸住まいでもできる快適化対策を知り、今年の暑い夏をストレスなく乗り切りましょう。
エアコンが1台しかない1LDKで起こる問題

1LDKの賃貸では、リビングにしかエアコンが設置されていないケースが一般的です。
その場合、寝室や書斎スペースに冷気が届かず、以下のような問題が生じます。
- 寝室が28℃を超え、寝苦しくなる
- 湿度が高く、カビやダニの発生リスクが上がる
- 熱中症のリスクがある(室温が30℃以上になると危険)
快適な睡眠環境として「室温26℃以下・湿度50〜60%」が推奨されています。
この基準を超えると、睡眠の質が大きく低下します。
管理会社にエアコン増設交渉をしてみる
エアコンの設置が1台だけである場合、「管理会社への交渉」を検討してみましょう。
交渉時のポイント
- 書面で正式に許可を依頼する
- 健康面への悪影響を具体的に説明する
- 工事費を自己負担する意思を伝える
実際に交渉が成功するかは物件や大家の方針により異なります。
ただし、設備の増設による入居者満足度向上を歓迎するオーナーもいます。
交渉の成功率は約2〜3割程度と言われていますが、まずは行動してみる価値があります。
交渉の際に重要なのは、書面での許可を得ること。
電話や口頭ではトラブルになりやすく、設置費用・撤去費用・退去時の原状回復範囲を明確にしておく必要があります。
また、室外機の設置スペースやコンセントの電圧(100V/200V)など、建物側の物理的な条件も確認しておきましょう。
エアコン1台でも快適に!賃貸OKの暑さ対策4選
ここからは、工事不要で実践できる4つの暑さ対策を、一級建築士の視点から解説します。
①サーキュレーターで空気を循環させる|風の流れを作る方法と注意点

エアコンが1台しかない状況では、冷気を部屋全体に行き渡らせる必要があります。
そのために有効なのが、サーキュレーターです。
メリット
- 空気を循環させて冷気を遠くまで送れる
- 消費電力が低く、1時間あたり約1円(DCモーターの場合)
- 価格が手頃で設置も簡単(3,000円〜10,000円が目安)
デメリット
- 正しい向きに設置しないと効果が薄い
- 風量が不足すると空気が循環しない
- 動作音が気になる場合もある(静音のDCモーターを推奨)
風速・風量が大きいほど、効率よく部屋の空気を循環させることができます。
しかし、測定基準はメーカーごとに統一されていないため、「適用畳数」を基準に選ぶことをおすすめします。
お住まいの部屋の畳数に合わせて、モデルを選びましょう。
また、寝室方向にサーキュレーターの風を送り、冷気の通り道を確保することで効果がアップします。
▽サーキュレーターの選び方についてはこちらもチェック▽
②厚手のカーテンで日射熱を防ぐ|遮熱・断熱効果を最大限に活かす方法

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窓から侵入する熱を遮ることで、室温の上昇を抑えることができます。
特に西日が当たる部屋では、厚手の遮熱・断熱カーテンの導入が効果的です。
メリット
- 太陽光による部屋の温度上昇を抑える
- エアコンの効率が上がり、電気代が節約できる
- 冬は暖房効率も高まるため、年間通して使える
デメリット
- 部屋が暗くなりやすい
- 重いため開閉の手間がやや増える
- 通常のカーテンと比較してコストがかかる
部屋の窓の面積が大きい場合ほど効果を実感できます。
③寝具の工夫で体感温度を下げる|ひんやり素材と通気性が鍵

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暑さを直接感じやすい就寝時には、寝具の見直しが欠かせません。
特に、接触冷感や吸湿素材の敷きパッド・シーツは、体感温度の調整に効果があります。
メリット
- 接触冷感素材は肌に触れるだけでひんやりと感じる
- 吸湿性・通気性に優れ、蒸れにくい
- 枕やシーツだけでも効果を感じやすく、導入コストが抑えられる
デメリット
- 冷感効果は一時的で、持続性には限界がある
- 素材により肌触りや好みに合わないこともある
- 冷房を併用しないと効果が限定的
接触冷感素材は、肌に触れた瞬間に約2〜3℃の体感温度低下が期待できます。
寝苦しい夜の対策として、まずは取り入れやすい寝具から始めてみましょう。
④ポータブルクーラーを補助的に使う|排熱ダクトの有無による違いと選び方
エアコンの設置が難しい場合の代替案として注目されているのが、
「ポータブルクーラー(移動式エアコン)」です。
大きく分けて、「排熱ダクトありタイプ」と「排熱ダクトなしタイプ」があります。
排熱ダクトありタイプ(冷風機能付きスポットエアコン)

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室内の熱を外に逃がすためのダクトを、窓などから屋外に出すタイプです。
家庭用エアコンと同様に冷風を作り出しつつ、発生した熱を効率よく屋外へ排出できます。
メリット
- 冷房効果が比較的高い(最大で約10畳程度まで対応)
- 冷風と排熱を分離できるため、効率が良い
- 長時間使用しても部屋の温度が上がりにくい
デメリット
- 排熱ダクトを窓に設置する手間がある
- ダクト設置用の窓パネルにより美観がやや損なわれる
- 機器のサイズが大きめで設置スペースが必要
排熱ダクトなしタイプ(冷風扇・スポットクーラー)

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排熱を伴わないタイプで、水の気化熱を利用して冷風を送り出す冷風扇風機が代表的です。
見た目は扇風機に近く、給水して電源を入れればすぐ使えるのが特徴です。
メリット
- 軽量でコンパクト、移動も簡単
- 工事もダクト設置も不要
- 消費電力が少なく、電気代が安い(1時間あたり数円)
デメリット
- 部屋全体を冷やす能力はない(体感温度を下げる程度)
- 湿度が上がるため、梅雨時や高湿度環境では不快に感じる
- 給水する手間がかかる
個人的には、冷房効果を第一に求めるなら排熱ダクトありのタイプがおすすめです。
設置は少々面倒ですが、冷却効果の差は歴然です。
一方、ダクトの存在感や窓パネルとインテリアとの調和が気になる方には排熱ダクトなしタイプをおすすめします。
排熱ダクトなしタイプでもほんとに涼しい冷風扇の選び方は、以下の記事で紹介しておりますので参考にしてください。
まとめ|複数の対策を組み合わせて、賃貸でも快適な夏を実現しよう

1LDK賃貸でエアコンが1台しかない場合でも、複数の工夫を組み合わせることで快適な住環境は実現可能です。
以下のような組み合わせがおすすめです。
- サーキュレーターで冷気を寝室へ送る
- 厚手カーテンで熱の侵入をブロックする
- 寝具を夏用に変えて体感温度を下げる
- ポータブルクーラーで補助冷房を行う
また、可能であれば管理会社へのエアコン増設交渉も視野に入れましょう。
設備が限られていても、住まいの工夫次第で暑い夏も乗り越えられます。
ぜひ、ご自身の生活スタイルに合った方法を取り入れてみてください。
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