一級建築士の星悠真です。
「1LDKの寝室にエアコンがなくて寒い…」もしくは「リビングにもエアコンがなくて寒い…」と感じていませんか。
賃貸住宅では石油ストーブやガスファンヒーターの使用が禁止されている場合が多く、使える暖房器具の選択肢は限られます。誤った選び方をしてしまうと、部屋はなかなか暖まらず、電気代ばかりが高くなるということも少なくありません。
しかし安心してください。エアコンがなくても正しい器具を選び、部屋の断熱性を少し工夫することで、1LDKの賃貸でも十分に暖かく快適に冬を過ごすことができます。
この記事では、「リビングだけにエアコンがある場合」と、「リビングにもエアコンがない場合」に分けて、現実的で安全な寒さ対策を紹介します。

寝室にエアコンがないマンションに住む私も実践している方法を紹介します。
「エアコンなしでも賃貸で使える暖房器具」と「建築的な観点からできる暖房効率アップの工夫」を詳しく解説します。
賃貸における暖房器具の制約

最も暖房効果が大きいのは、石油やガスを使うストーブ・ファンヒーターです。
しかし、賃貸では石油ストーブやガスファンヒーターの使用が禁止される場合が多く、使ったとしても契約違反になる可能性があります。
また、壁や天井に穴を開けるような暖房設備の設置もできません。

つまり、賃貸では暖房効果が大きい器具が使えないため、部屋に合う効果的な暖房器具を見極めることが重要になってきます。
「リビングにしかエアコンがない場合」の寒さ対策
リビングにしかエアコンが設置されておらず、隣室が冷え切って寒い方へ。
ここでは、「暖気を送る」「補助暖房を併用する」という2つの対策を紹介します。
サーキュレーターで暖気を隣室に送る

リビングにのみエアコンが設置されている場合、サーキュレーターを活用することが効果的です。

我が家もリビングにしかエアコンが設置されていません。しかし、サーキュレーターで寝室に暖気を送ることで冬でも快適に過ごしています。
リビングのエアコンから出る暖かい空気は天井付近に集まるので、サーキュレーターを廊下や部屋の出入り口付近に置き、上向きに送風すると暖気がスムーズに移動します。
特にリビングと隣室がつながっている場合、サーキュレーターが気流の橋渡しとなり、冷えやすい部屋にも暖かさを届けられます。

部屋間の廊下が長い場合、サーキュレーターの2台使いが効果的です。
サーキュレーターの選び方とおすすめモデルは以下の記事で解説しています。是非参考にしてください。
サーキュレーターは部屋の広さで決める!選び方と厳選7選|一級建築士厳選【2025年版】
補助暖房器具を併用する

エアコンの暖気が届きにくいときは、補助的な暖房器具を使うのが現実的です。
賃貸でも使える代表的な暖房器具を、以下に比較表としてまとめました。それぞれ範囲、即暖性、電気代、安全性に特徴があるため、生活スタイルに合わせて選ぶことが重要です。
暖房器具 | 範囲(部屋全体 or スポット) | 即暖性 | 電気代 (1時間目安) | 安全性 |
---|---|---|---|---|
オイルヒーター | 部屋全体 | △ | △(約16〜37円) | ◎ |
セラミックファンヒーター | スポット~部屋全体 | ◎ | △(約10〜30円) | ○ |
電気ストーブ | スポット | ◎ | △(約10〜20円) | △ |
パネルヒーター | スポット | △ | ○(約5〜10円) | ◎ |
ホットカーペット | スポット | ○ | ○(約7〜10円) | ○ |
電気毛布 | スポット | ○ | ◎(約0.1〜3円) | ○ |
寝室の暖房器具のおすすめ
寝室では「音が静か」「風が直接当たらない」「就寝中でも安心して使える」ことが重要です。
以上に合致する暖房器具として、オイルヒーター・電気毛布をおすすめします。
【オイルヒーター】

image : Amazon
オイルヒーターは内部のオイルを電気で温め、その熱を放射することで部屋をじんわり暖める仕組みです。なお、オイルヒーターは電気暖房器具なので賃貸でも使用可能です。
部屋全体をムラなく温めることができ、長時間使用しても乾燥しにくく、安全に使える暖房器具です。ただし、立ち上がりに時間がかかるため、スピーディーに部屋を暖めたい場合には不向きです。
運転中は音がしないため、就寝時には最適です。
【電気毛布】

image : Amazon
電気毛布は体を直接温めるため、体感は非常に暖かくなります。
電気代は非常に安く、一晩中使っても数円程度しかかかりません。
運転音はなく完全に静かなので、睡眠時にも安心して利用できます。
デスクワーク・作業部屋の暖房器具のおすすめ
作業中は「足元冷え対策」「座っている場所へのスポット暖房」が重要です。
以上に合致する暖房器具として、セラミックファンヒーター・パネルヒーター・電気ストーブをおすすめします。
【セラミックファンヒーター】

image : Amazon
セラミックファンヒーターは電気でセラミックを加熱し、そこに風を当てて温風を送り出す仕組みです。
即暖性が特徴で、約1~2分で温風が出ます。部屋全体を暖めるよりは、スポット的に暖房する方が向いているため、デスクワークに向いています。

ファンを回すため運転音は出ますが、テレビや会話を妨げるほどではありません。
【パネルヒーター】

image : Amazon
パネルヒーターは輻射熱を利用して体をじんわりと暖めるタイプで、狭い空間やデスク下に置くと効果的です。
暖房性能はスポット的ですが、体感は非常にやさしく、乾燥しにくいのが魅力です。
消費電力は中程度で、電気代はファンヒーターよりは抑えられます。運転音はほぼ無音に近く、静かな環境を維持できます。
【電気ストーブ(遠赤外線ヒーター)】

image : Amazon
電気ストーブ(遠赤外線ヒーター)は、パネルヒーター同様に放射熱による暖房器具です。
セラミックファンヒーターと同様、即暖性が特徴です。
放射熱に直接当たる部分は暖かいですが、部屋全体は暖まらないのでスポット暖房が向いています。

表面温度が高くなるタイプが多いため、小さい子どもやペットがいる場合は注意が必要です。
「リビングにもエアコンがない場合」の寒さ対策
リビングにもエアコンがない場合、暖房器具の選び方がすべてを左右します。
賃貸でも使用できる安全な電気暖房器具を組み合わせることが大切です。
リビングに適切な暖房器具を選ぶ
リビングでは広さや使い方に合わせて、暖房器具を組み合わせると効率的です。
再掲になりますが、賃貸でも使える代表的な暖房器具は以下の通りです。それぞれ範囲、即暖性、電気代、安全性に特徴があります。
暖房器具 | 範囲(部屋全体 or スポット) | 即暖性 | 電気代 (1時間目安) | 安全性 |
---|---|---|---|---|
オイルヒーター | 部屋全体 | △ | △(約16〜37円) | ◎ |
セラミックファンヒーター | スポット~部屋全体 | ◎ | △(約10〜30円) | ○ |
電気ストーブ | スポット | ◎ | △(約10〜20円) | △ |
パネルヒーター | スポット | △ | ○(約5〜10円) | ◎ |
ホットカーペット | スポット | ○ | ○(約7〜10円) | ○ |
電気毛布 | スポット | ○ | ◎(約0.1〜3円) | ○ |
エアコンのない一般的なリビングではオイルヒーターとホットカーペットを組み合わせると、足元から部屋全体までバランスよく暖まります。
【オイルヒーター】

image : Amazon
賃貸で石油ストーブやガスファンヒーターが使えない場合、部屋全体を暖められるのはオイルヒーター一択です。

ちなみにオイルヒーターは、石油ファンヒーターとは別物です。電気を使う暖房器具なので、賃貸でも使用可能です。
オイルヒーターは内部のオイルを電気で温め、その熱を放射することで部屋をじんわり暖める仕組みです。長時間使用しても乾燥しにくく、安全に使える暖房器具です。
ただし、立ち上がりに時間がかかるため、以下で紹介するホットカーペットと併用するとより効率的にリビングを暖められます。

我が家でも、エアコンの暖房だと乾燥が気になる時は、オイルヒーターを使って部屋を暖めています。
【ホットカーペット】

image : Amazon
ホットカーペットは床からの冷気を遮断しつつ、じんわりと体を温めることができるため、リビングでの使用に向いています。
部屋全体を暖める効果は弱いですが、足元から暖まるので体感的には十分暖かいです。

床を暖める器具なので、寝室ではなくリビングや洋室向きです。上に敷くラグはホットカーペット専用のラグを選びましょう。
建築士が教える暖房効率UP術|断熱の工夫
暖房器具を活用するだけでなく、断熱の工夫を取り入れることで寒さは大幅に軽減できます。
窓まわりの断熱

窓は室内の熱が最も逃げやすい場所です。
断熱カーテンを導入したり、窓ガラスにプチプチ(緩衝材)を貼ることで外気の影響を抑えることができます。
さらに窓枠の隙間にすきまテープを貼るだけでも冷気の侵入を防げるため、手軽にできる断熱対策としておすすめです。

ソファやベッドを窓から離して配置することも重要です。
断熱カーテンの効果

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断熱カーテンは、生地の厚みや特殊な裏地によって外からの冷気を遮り、室内の暖かい空気を逃しにくくする効果があります。
一般的な薄いカーテンやレースカーテンでは冷気を防ぎきれませんが、断熱カーテンを使うことで窓際の冷え込みがかなり軽減されます。

床までしっかり長さがあるカーテンを選ぶと、窓の下から入り込む冷気をシャットアウトできるため、体感温度が2〜3℃ほど上がるケースもあります。
プチプチ(気泡緩衝材)の効果

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引っ越しや梱包でよく使われるプチプチは、窓の断熱材としても意外に効果的です。窓ガラスに直接貼ると、気泡の中に空気の層ができ、外気の冷たさを伝わりにくくします。
市販の断熱シートと比べても低コストで、100円ショップなどで手軽に入手できるのが大きなメリットです。特に結露を抑える効果もあり、カビの発生防止にもつながります。

見た目が気になる方にはおすすめできませんが、貼るだけで効果を感じられる、低コストで実践できる方法です。私も学生時代に住んでいた安いアパートで実践していました。
すきまテープの効果

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窓やドアのサッシ部分には、わずかな隙間から外気が入り込んでいます。この「すきま風」を防ぐのが、すきまテープの役割です。
特に築年数が古い賃貸ではサッシの密閉性が低く、冷たい空気が床付近に溜まりやすいのですが、テープを貼ることで冷気を大幅に遮断できます。
コストも安く、DIYが苦手な人でも簡単に取り付けられる点が魅力です。

ただし、粘着部分が残りやすい商品もあるため、賃貸では「剥がしやすいタイプ」を選ぶことが大切です。
床からの冷気対策

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フローリングの床は冷えを強く感じやすい場所です。
ラグやカーペットを敷くと床から伝わる冷気を遮断でき、体感温度が上がります。
まとめ【1LDK賃貸・エアコンなしでも快適に冬を過ごす】

賃貸でも電気暖房器具を正しく選び、さらに住まいの断熱性を工夫すれば、想像以上に暖かく快適な空間をつくり出すことができます。
まず意識すべきは「どのように暖めるか」という視点です。部屋全体を暖めたいときはオイルヒーター、じんわりと足元を暖めたいときはパネルヒーター、就寝時には電気毛布といったように生活シーンごとに使い分けることで、効率的に快適さを得られます。
次に重要なのは「暖かさを逃がさない工夫」です。どんなに優秀な暖房器具を使っても、窓や床から冷気が入り込めば効果は半減してしまいます。断熱カーテンや窓シートを取り入れたり、ラグやマットを敷いて足元の冷えを防いだりといった工夫を組み合わせることで、暖房効率は飛躍的に高まります。
もう「エアコンがないから冬はつらい」と悩む必要はありません。正しい器具を選び、断熱の工夫を加えることで、暖かく冬を過ごしましょう。
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