「電車の音がうるさくて眠れない」
「防音カーテンって意味あるの?」
そんな不安を感じている方へ。
この記事では防音カーテンの効果と限界、賃貸でもできる騒音対策を解説します。

私は一級建築士として、音と熱環境の設計に数多く携わってきました。騒音対策は正しい方法を選べば体感的にも大きな違いが出ます。
防音カーテンは電車の騒音に本当に効果があるのか?

防音カーテンは、人の話し声や楽器音には効果的です。
ですが、電車の騒音対策には効果がありません。
電車の「ゴォーッ」という音は主に低音域。
多くの防音カーテンは中〜高音(1000Hz以上)に効果がありますが、低音への遮音性はほとんどありません。
実際、遮音効果は1〜2dB程度にとどまります。
騒音レベルが80dB近い線路沿いでは、2dBの低減だけでは効果を感じられません。
電車の騒音対策として、防音カーテンを購入するのはおすすめできません。
「本当に効果がある」防音対策は何か?

住宅における最も有効な騒音対策は二重サッシ(内窓)です。
これは音の主な侵入口である「窓」にもう一枚ガラスを加える構造で、
大幅な遮音性能アップが見込めます。
ただし問題は、原状回復の観点から賃貸では導入が難しく、価格も高いという点です。
内窓の取り付けには工事が必要で、オーナーや管理会社の許可も求められます。

逆に、予算に余裕があり大家と交渉できれば、賃貸での二重サッシの導入は最もおすすめです。
二重サッシが難しい方に、私がおすすめするのが、
ロックウールボード+ホワイトノイズマシンの併用です。
遮音対策と心理的な音のマスキングを組み合わせることで、
現実的かつ効果的な対応が可能になります。
賃貸でもできる!ロックウールボードで窓をふさぐ防音対策
ロックウールとは?
ロックウールとは、玄武岩などを高温で溶かして繊維状に加工した吸音・断熱性の高い素材です。
音のエネルギーを内部で拡散・吸収する働きがあり、スタジオや音響室の壁材にも使われています。
設置方法のポイント

- 窓サイズに合わせてロックウールボードをカット
- 表面に硬質MDF板を貼ると遮音性と美観がアップ
- 窓枠内にしっかりとはめ込むだけでOK
- 結露対策として、窓ガラスとの間に空気層を確保
- 空気層にはシリカゲルを設置(結露対策)
サイズに合わせてDIYが必要ですが、この方法なら、
壁や建具を傷つけずに取り外しも可能なので、賃貸でも実践できます。
▼ロックウールボード
▼硬質MDF板
▼シリカゲル
窓自体の隙間はテープでふさぐ
窓サッシの気密性がそもそも低く、
窓やドアの隙間から音が入りやすい場合、
すき間テープやパッキン材を使って気密性を上げることが有効です。
特に築年数が経っている古い物件で有効です。
開け閉めに支障が出ないよう注意しながら、上下左右の枠を丁寧に処理しましょう。
ホワイトノイズマシンで不快な電車音を「聞こえにくく」する

image : Amazon
ホワイトノイズマシンは、一定のノイズを流すことで、
外からの不快な音をマスキングする機器です。
ホワイトノイズマシンを使って、騒音と周波数が近い音を意図的に発生させることで、
不快な音が聞き取りにくくなります。
音を完全に消すのが難しい賃貸では、
「聞こえるけれど気にならない環境を作る」という考え方が重要です。

私自身も過去に住んでいたアパートで隣人の騒音対策として、ホワイトノイズマシンを使っていました。体感ですが、騒音は70~80%ほど低減されましたよ。
「ロックウールボード+ホワイトノイズマシンの併用」で物理的にも心理的にも騒音を軽減できます。
「窓を完全に塞ぐのはちょっと…」
という方は、まずはホワイトノイズマシンから試してみてはいかがでしょうか。
▽ホワイトノイズマシンを詳しく知りたい方はこちらをチェック▽
まとめ|二重サッシが最も効果的だが、賃貸では現実的な選択肢が必要
電車の騒音に悩んでいる方にとって、最も効果があるのは窓を二重サッシ化する方法です。
しかし、賃貸物件ではこの方法にはいくつかの大きなハードルがあります。
- 工事が必要で、原状回復義務との整合が取れない
- 管理会社や大家の許可が必要
- 数万円〜10万円以上の費用がかかる
つまり、遮音性は高くても、賃貸では簡単に導入できないのが現実です。
そこで、この記事で提案したのが、
賃貸でも実行可能な「ロックウールボードで窓をふさぐ方法」と「ホワイトノイズマシンの併用」です。
「完全な静けさ」を手に入れるのは難しくても、
できる限り音の侵入を減らし、残った音を気にならなくするという戦略をとることで、
騒音による生活のストレスは大幅に軽減できます。
- 二重サッシは理想的だが、賃貸では現実的でない
- ロックウール+MDF板で物理的に音を遮断
- ホワイトノイズマシンで心理的に音をマスキング
この組み合わせこそが、今すぐにでも実践できて、かつ実際に効果を感じられる現実的な対策です。

「防音カーテンでは効かない…」
「でも、引っ越しは難しい…」
そんな方こそ、この合わせ技で暮らしを変える第一歩を踏み出してみてください。
静かな部屋は、きっと生活の質を一段上げてくれます。
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