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隣人の声が丸聞こえ…賃貸の防音対策ガイド|一級建築士が教える「部屋選び」と「住んでから」できること

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スぺパ(=スペースパフォーマンス)を中心に、省スペースで効率的な暮らしのアイデアを発信。

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こんにちは!スぺパ建築士の星 悠真です。


今回は、「壁が薄くて隣の音が聞こえる」「毎日ストレスが溜まる」とお悩みの方向けに、賃貸住宅での防音対策について解説します。

この記事は、以下のような方に向けています:

  • 賃貸でこれから部屋探しをする人
  • すでに住んでいて、音の問題に悩まされている人(電話ができないetc…)
  • ワンルームや1Kのアパートやマンションに暮らす、一人暮らしの男性・女性

一級建築士としての視点から、防音性の高い部屋の選び方と、今すぐできる防音対策を、両面から詳しくお伝えします。

部屋探しで「壁の薄さ」を見抜く方法

賃貸住宅における音の問題は、入居前に気づけるかどうかが大きな分かれ目です。

まずは、「壁が薄くない部屋をどう見つけるか」について解説します。

建物構造による防音性の違い|木造・S造・RC造を比較

防音性に大きく影響するのが、建物の構造種別です。以下に、代表的な3つの構造を比較してみましょう。

構造一般的な特徴防音性
木造(W造)木の柱と梁で構成。壁が薄く隙間も多い✕(音がよく響く)
鉄骨造(S造)軽量鉄骨を使用。コストは安いが遮音性は中程度
鉄筋コンクリート造(RC造)コンクリートの壁と床で構成。遮音・断熱性に優れる◎(最も防音性が高い)

RC造の物件を選ぶことで、構造的には最も防音性の高い住環境が期待できます。

ただし、RC造=静かというわけではありません。

大切なのは「間仕切り壁(隣の部屋との壁)」がコンクリートでできているかどうかです。

RC造でも、部屋の間仕切りが「軽量鉄骨+石膏ボード(いわゆるボード壁)」であれば、音は簡単に伝わってしまいます。

この仕様は不動産の間取り図では基本的に判断できません。

間仕切り壁がRC壁か、ボード壁かを見分ける方法

内見の際に、現地で以下のポイントで判別ができることがあります。

①壁を軽くノックして音を聞く
  • コンコンと空洞感のある軽い音が返ってくる → 軽量鉄骨下地のボード壁
  • ゴツゴツした重い鈍い音が返ってくる → コンクリート壁(RC壁)
②分譲仕様かどうか確認

分譲マンションを賃貸に出している物件は、壁がRCであることが多く、基本的に遮音性能が高い傾向があります。

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以上2点でも明確な断定が難しい場合もありますので、一番確実なのは不動産業者に「隣室との間仕切り壁はコンクリートかどうか」を直接確認してもらうと安心です。

壁がコンクリートであれば遮音性は担保されますが、ボード壁であっても設計によっては遮音性能が高い仕様であることもあります。

そこで、内見時に「部屋の音環境」を把握する簡単な方法として私がおススメするのが、手を叩いて反響を確認する方法です。

現地でできる簡易チェック|反響音を確認して防音性を推測

内見の際、部屋の中央で手を叩いて反響を確認してみましょう。

手を叩いたときに「キーン」「カンカン」とよく反響する場合
▷吸音されず音が反射しているため、遮音性が高い構造である可能性

音が「ボフッ」「ドン」と吸収されるように響く場合
▷壁や床から音が抜けているため遮音性が低い
(または、吸音材が使われている可能性もあります)

つまり、音がよく反響する部屋ほど、音が反射する=遮音性が高いという考えです。

すでに住んでいる人向け|現実的な防音対策

「すでに住んでしまっている。引っ越すのも難しい……」
そんな方でも、生活の質を上げるための対策は十分にあります。

ここでは、コスパ(コストパフォーマンス)を考慮した、実用的な防音対策をご紹介します。

防音材を壁に貼るだけでは効果が薄い理由

まず誤解されやすいのが、「防音パネルを壁に貼れば静かになる」という考え方です。

市販されている防音材の多くは「吸音材」であり、これは自身の部屋の中で発生する音の反響を抑えるためのものです。
つまり、外から入ってくる音を遮断する「遮音効果」はほとんどありません

壁は、空気や振動を通しやすく、貼り付けるだけでは構造そのものが変わらない限り根本的な改善は難しいのです。

吸音材や防音シートは「部屋の響き対策」や「自分の音漏れ対策」としては使えます。

しかし、隣人の生活音が気になるという場合には、別のアプローチが必要です。

ホワイトノイズで「音を打ち消す」マスキング効果

そこでおすすめなのが、ホワイトノイズの導入です。
ホワイトノイズとは、全ての周波数の音が均一に含まれているノイズのこと。

川のせせらぎや滝、雨音、エアコンの「サーッ」という音などがこれにあたります。
これを意図的に流すことで、外からの生活音の周波数を打ち消す=マスキング効果が期待できます。

特に、

  • 隣の話し声が小さく聞こえてしまう
  • 壁の向こうの咳払いやいびきが気になる
  • 静かすぎて音に敏感になってしまう

といった悩みを持つ方には、とても効果的です。

個人的には、ホワイトノイズマシンがおススメです。安価に購入でき、高いマスキング効果が期待できます。

※人によってはホワイトノイズ自体が気になるケースもありますので、Youtube等で視聴できる無料のホワイトノイズ音源を短時間試してみるのがおすすめです。

星 悠真
星 悠真

転勤で会社の寮に数か月住むことになった際、壁が薄すぎて隣人の生活音が気になり寝付けませんでした。その時にこのホワイトノイズマシンに出会い、暮らしが守られました(笑)

家具の配置と素材で音の伝わりを抑える

音の伝わりを少しでも軽減するには、本棚やクローゼットなど背の高く質量のある家具を音が気になる壁際に配置するのがおススメです。

その際、できるだけ壁にピッタリと設置するのがおススメです。

これは、遮音性能に深く関係する「質量則」に基づく方法です。

質量則:「壁や材料が重く(=質量がある)なるほど、音を通しにくくなる」という防音の基本ルール

本棚、タンス、大きな収納など重くて中身が詰まっている家具を壁際にピッタリと置くと、壁自体の質量が増したのと同じ効果が得られ、隣からの音を軽減できるわけです。

素材は、スチール製や厚みのある木製がおススメです。中にぎっしり本や雑貨を詰めることで密度を上げましょう。

まとめ:防音は「選ぶ力」と「暮らしの工夫」で解決に近づく

賃貸住宅の防音問題は、「完全な解決」は難しいかもしれません。
しかし、選ぶ段階での知識と判断力、そして住みながらの工夫によって、かなり快適な環境をつくることは可能です。

この記事では一級建築士の視点から、

  • 賃貸の構造と音の関係
  • 防音性を内見時に見抜く方法
  • 住んでからできる、現実的な防音対策

についてお伝えしました。

防音は、「気にしすぎ」ではなく「生活の質に直結する重要な要素」です。
ぜひ本記事の内容を参考に、自分に合った音環境づくりに取り組んでみてください。

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