2LDKや2DKの賃貸物件で
「リビングにしかエアコンがなく、寝室や洋室が暑くてつらい」と悩んでいませんか?
夏になると、冷房の効かない部屋で過ごすことは大きなストレスになります。
特に暑すぎる寝室は、健康面や生活の質にも影響します。
しかし、賃貸住宅ではエアコンの増設が自由にできず、我慢するしかないと考えている方も多いのではないでしょうか。
この記事は、2LDKの賃貸に住んでいて、寝室やもう一部屋にエアコンがなくて困っている方を対象にしています。
この記事を読めば、次のことがわかります。
- エアコンが1台しかないと起こる問題
- 管理会社に増設の相談をする際のポイント
- 今すぐ実践できる4つの暑さ対策(工事不要)
「寝室が暑くて眠れない」「子ども部屋が蒸し風呂状態」という状況でも、
工夫次第で涼しく快適に暮らすことはできます。
一級建築士の視点から、賃貸でも実践しやすい方法を紹介します。
2LDK賃貸でエアコンが1台しかないと起こる問題

2LDKの間取りでは、エアコンがリビングに1台だけという物件が多く見られます。
とくに築10年以上の賃貸住宅に多い傾向があります。
部屋が仕切られているため、リビングで冷やした空気が寝室や洋室まで届きません。
日差しが強い方角の部屋では熱がこもりやすく、夜になっても暑さが残ります。
「寝苦しくて夜中に起きてしまう」
「子どもが熱中症にならないか心配」
といった声もよく聞きます。
エアコンを1台しか使えない状況では、暑さに耐えるしかないと感じる方も多いでしょう。
しかし、適切な対策をとれば、状況は変えられます。
管理会社へのエアコン増設交渉のポイント
まず検討したいのは、管理会社にエアコンの増設を相談することです。
賃貸では勝手に工事を行うと、退去時にトラブルになる可能性があります。
交渉のポイントは以下の3つです。
①室温の実測データを用意する
寝室の室温をデジタル温度計で測定しておきましょう。
「夜でも30度を超える」「湿度が70%以上ある」など、
具体的な数値を提示することで説得力が増します。
②暮らしへの影響を丁寧に伝える
睡眠不足や電気代の上昇、
子どもの体調への影響など、
日常生活で困っていることを丁寧に伝えることが大切です。
入居者の健康や安全に関わる内容であれば、管理側も検討しやすくなります。
③設置の可否と費用の負担を確認する
エアコンの設置には配管スペースや室外機の設置場所が必要です。
また、室外機の設置スペースやコンセントの電圧(100V/200V)など、建物側の物理的な条件も確認しておきましょう。
費用については、「自己負担でもよいので設置したい」と伝えると、
話が進みやすくなるケースもあります。
長期入居を前提とするなら、貸主が費用を一部負担することもあります。
交渉は書面でやり取りしよう(メールでも可)
実際に交渉が成功するかは物件や大家の方針により異なります。
ただし、設備の増設による入居者満足度向上を歓迎するオーナーもいます。
交渉の成功率は約2〜3割程度と言われていますが、まずは行動してみる価値があります。
交渉の際に重要なのは、書面での許可を得ること。
電話や口頭ではトラブルになりやすく、設置費用・撤去費用・退去時の原状回復範囲を明確にしておく必要があります。
エアコン1台でも快適に!工事不要でできる暑さ対策4選
管理会社の許可が得られなかった場合でも、あきらめる必要はありません。
賃貸でもすぐに実践できる暑さ対策を4つ紹介します。
①サーキュレーターで空気を循環させる

エアコンが1台しかない状況では、冷気を部屋全体に行き渡らせる必要があります。
そのために有効なのが、サーキュレーターです。
メリット
- 空気を循環させて冷気を遠くまで送れる
- 消費電力が低く、1時間あたり約1円(DCモーターの場合)
- 価格が手頃で設置も簡単(3,000円〜10,000円が目安)
デメリット
- 正しい向きに設置しないと効果が薄い
- 風量が不足すると空気が循環しない
- 動作音が気になる場合もある(静音のDCモーターを推奨)
風速・風量が大きいほど、効率よく部屋の空気を循環させることができます。
しかし、測定基準はメーカーごとに統一されていないため、「適用畳数」を基準に選ぶことをおすすめします。
お住まいの部屋の畳数に合わせて、モデルを選びましょう。
また、寝室方向にサーキュレーターの風を送り、冷気の通り道を確保することで効果がアップします。
▽サーキュレーターの選び方についてはこちらもチェック▽
②厚手の遮光カーテンで日差しを防ぐ

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窓から侵入する熱を遮ることで、室温の上昇を抑えることができます。
特に西日が当たる部屋では、厚手の遮熱・断熱カーテンの導入が効果的です。
メリット
- 太陽光による部屋の温度上昇を抑える
- エアコンの効率が上がり、電気代が節約できる
- 冬は暖房効率も高まるため、年間通して使える
デメリット
- 部屋が暗くなりやすい
- 重いため開閉の手間がやや増える
- 通常のカーテンと比較してコストがかかる
部屋の窓の面積が大きい場合ほど効果を実感できます。
③冷感寝具で体感温度を下げる

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暑さを直接感じやすい就寝時には、寝具の見直しが欠かせません。
特に、接触冷感や吸湿素材の敷きパッド・シーツは、体感温度の調整に効果があります。
メリット
- 接触冷感素材は肌に触れるだけでひんやりと感じる
- 吸湿性・通気性に優れ、蒸れにくい
- 枕やシーツだけでも効果を感じやすく、導入コストが抑えられる
デメリット
- 冷感効果は一時的で、持続性には限界がある
- 素材により肌触りや好みに合わないこともある
- 冷房を併用しないと効果が限定的
接触冷感素材は、肌に触れた瞬間に約2〜3℃の体感温度低下が期待できます。
寝苦しい夜の対策として、まずは取り入れやすい寝具から始めてみましょう。
④ポータブルクーラーを補助的に使う|排熱ダクトの有無による違いと選び方
エアコンの設置が難しい場合の代替案として注目されているのが、
「ポータブルクーラー(移動式エアコン)」です。
大きく分けて、「排熱ダクトありタイプ」と「排熱ダクトなしタイプ」があります。
排熱ダクトありタイプ(冷風機能付きスポットエアコン)

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室内の熱を外に逃がすためのダクトを、窓などから屋外に出すタイプです。
家庭用エアコンと同様に冷風を作り出しつつ、発生した熱を効率よく屋外へ排出できます。
メリット
- 冷房効果が比較的高い(最大で約10畳程度まで対応)
- 冷風と排熱を分離できるため、効率が良い
- 長時間使用しても部屋の温度が上がりにくい
デメリット
- 排熱ダクトを窓に設置する手間がある
- ダクト設置用の窓パネルにより美観がやや損なわれる
- 機器のサイズが大きめで設置スペースが必要
排熱ダクトなしタイプ(冷風扇・スポットクーラー)

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排熱を伴わないタイプで、水の気化熱を利用して冷風を送り出す冷風扇風機が代表的です。
見た目は扇風機に近く、給水して電源を入れればすぐ使えるのが特徴です。
メリット
- 軽量でコンパクト、移動も簡単
- 工事もダクト設置も不要
- 消費電力が少なく、電気代が安い(1時間あたり数円)
デメリット
- 部屋全体を冷やす能力はない(体感温度を下げる程度)
- 湿度が上がるため、梅雨時や高湿度環境では不快に感じる
- 給水する手間がかかる
冷房効果を第一に求めるなら排熱ダクトありのタイプがおすすめです。
設置は少々面倒ですが、冷却効果の差は歴然です。
一方、ダクトの存在感や窓パネルとインテリアとの調和が気になる方には排熱ダクトなしタイプをおすすめします。
排熱ダクトなしタイプでもほんとに涼しい冷風扇の選び方は、以下の記事で紹介しておりますので参考にしてください。
まとめ|エアコン1台でも賃貸でできる暑さ対策はある

2LDKの賃貸でエアコンが1台しかない場合でも、工夫次第で快適に過ごすことは可能です。
まずは、管理会社に増設を相談し、設置できる可能性を探りましょう。
それが難しい場合でも、
サーキュレーターや遮光カーテン、冷感寝具、ポータブルクーラーなどを活用すれば、
寝室や洋室の暑さはかなり軽減されます。
一級建築士の立場から言えるのは、「空気を動かす」「熱を遮る」「体を冷やす」という基本原則を押さえることが大切です。
この記事が、あなたの住まいを少しでも快適にするヒントになれば幸いです。
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