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加湿器は「木造和室」「プレハブ洋室」どっちを選ぶ?一級建築士が適用畳数を解説【マンション・戸建て】

寒さの悩み
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▷一級建築士
▷インテリアコーディネーター
▷家電ライター

住まいの寒さ・暑さ・騒音問題。
ただ家電や家具を買うだけでは解決できません。
なぜなら、問題の多くは部屋自体の構造に起因するから。
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一級建築士の星悠真です。

加湿器を選んでいて、「木造和室〇畳」「プレハブ洋室〇畳」と書かれていて、どちらを基準に選ぶべきか分からないと感じていませんか?

結論から先に言うと、あなたの住まいが断熱性の高い最近の住宅なら「プレハブ洋室」を基準に、築年数が古い「木造住宅」なら木造和室を基準に選ぶのが正解です。

なぜなら、この2つの表記は「構造の気密性と断熱性能」を示しているからです。実は、家が木造かどうかは直接関係ありません。

星 悠真
星 悠真

この記事では、加湿器の適用畳数表示の正しい見方を解説します。

さらに、木造・鉄骨・RC造といった構造別、築年数別の選び方も分かりやすく整理します。

「木造和室」「プレハブ洋室」とは?|JIS規格に基づく意味を解説

「木造和室」「プレハブ洋室」は部屋の断熱性能の違いを表す指標です。

どちらも日本産業規格(JIS C 9602)で定義されており、加湿器の加湿能力を試験するときの条件として使われています。「木造」「プレハブ」という表記は、構造材そのものを指しているわけではなく、“気密・断熱性能”という性能値の目安として扱われているのです。

木造和室とは

木造和室とは、木造住宅の中でも壁や天井の断熱が弱く、気密性が低い部屋のことです。

写真のような、昔ながらの木造戸建てのイメージです。

畳や障子、木製の建具が多く使われ、窓も単層ガラスであることが一般的です。

空気の出入りが多いため、湿度が上がりにくいのが特徴です。

プレハブ洋室とは

一方で、プレハブ洋室とは、壁の内部に断熱材を入れ、気密性の高いサッシなどを使用した住宅を指します。

いわゆる「断熱性が高く、湿度が逃げにくい部屋」です。

築浅のマンションや最近建てられた一般的な戸建て住宅は、ほとんどがこの条件に該当します。木造住宅であっても高断熱高気密であれば、プレハブ洋室扱いです。

そのため、同じ加湿器でも、「木造和室」の部屋と「プレハブ洋室」の部屋では加湿できる面積が大きく異なります。

星 悠真
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木造和室10畳用の機種なら、プレハブ洋室では16畳ほどの広さに対応できる場合もあります。

築年数と構造別に見る|どちらの表記を選ぶべきか

あなたの家がどのような構造で、いつ建てられたかによって選ぶ基準が変わります。

建物の構造と築年数ごとに、加湿器の「木造和室」「プレハブ洋室」のどちらを基準にすべきかを表にまとめました。

星 悠真
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実際は、同じ構造・築年数でも気密性や断熱性によって異なるので、あくまでも一般的な傾向として捉えてください。

建物の種類築年数の目安該当する分類気密・断熱性能の特徴
木造戸建て築30年以上木造和室壁の断熱材が薄く、単層ガラスで隙間が多い
築10~30年中間(木造寄り)ある程度高断熱。アルミサッシ・単層ガラス
新築、築10年以内プレハブ洋室高気密高断熱。樹脂サッシ・複層ガラス採用
木造アパート築年数問わず木造和室断熱が弱く気密性が低いケースが多い
鉄骨造アパート・マンション築10~20年プレハブ洋室断熱材次第だが気密性は中程度
RC造マンション築20年以内プレハブ洋室高い気密性と断熱性を持つ
鉄骨造・RC造マンション築30年以上中間(木造寄り)サッシ劣化などで断熱低下の可能性あり

この表を見ると分かるように、建物の構造と築年数は、加湿効率に大きな影響を与えます。

特に木造住宅では、窓や断熱材の性能差が湿度の上がりやすさを大きく左右します。

星 悠真
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例えば、築10~30年の木造戸建てで15畳の部屋なら、中間で木造よりの「木造和室12畳用/プレハブ洋室19畳」などを選ぶとベストです。

天井が高い部屋や吹き抜けリビングではどう選ぶ?

次に注意したいのが、天井高です。

天井が高い空間や吹き抜けのある部屋では、加湿器の対応畳数を1.2〜1.3倍程度大きめに選ぶのが正解です。

天井高が加湿効率に与える影響

加湿器の「〇畳用」という表示は、天井高2.4メートルを前提としています。

しかし、実際には3メートルを超えるリビングや吹き抜け空間も多くあります。室内容積が増えると、それだけ多くの空気を加湿する必要があり、同じ加湿器では湿度が上がりにくくなります。

そのため、天井が高い部屋では、加湿器の対応畳数を1.2〜1.3倍程度大きめに選ぶのが基本です。

吹き抜け空間の注意点

image : Amazon

吹き抜けがあるリビングでは、湿った空気が上部に滞留しやすく、床付近の湿度が下がることがあります。

この場合、サーキュレーターで空気を循環させることが有効です。

サーキュレーターの選び方とおすすめモデルは、以下の記事で解説しています。是非参考にしてください。

サーキュレーターは部屋の広さで決める!選び方と厳選7選|一級建築士厳選【2025年版】

「正しい加湿器の選び方」3ステップ

ステップ1:自分の住まいの構造を把握する

あなたの家が木造・鉄骨・RC造のどれにあたるかを確認しましょう。また、窓サッシの劣化状況や性能をチェックしましょう。

これにより、木造和室かプレハブ洋室かの判断が明確になります。

ステップ2:築年数で断熱性能を見極める

築年数が30年以上の住宅では、断熱材が薄く、窓の気密性が低い傾向があります。その場合は、木造和室を基準にした畳数を選ぶほうが確実です。

一方で、新しい住宅やリフォーム済みの物件であれば、プレハブ洋室を基準にして問題ありません。

ステップ3:天井高や吹き抜けの有無に注意する

加湿器の「〇畳用」という表示は、天井高2.4メートルを前提としているため、部屋の天井高をチェックしましょう。2.4mより高い天井の場合、余裕を持ったモデルを選ぶと安心です。

また、吹き抜けがあるリビングの場合、必要な加湿量が増えます。

天井が高い場合や吹き抜けリビングの場合は、加湿器の対応畳数を1.2〜1.3倍程度大きめに選びましょう。

迷ったら「気化ハイブリッド式」が正解。その理由は?

ここまで「木造和室」と「プレハブ洋室」の見極め方を解説してきましたが、「結局、どの種類の加湿器を買えばいいの?」と迷ってしまう方も多いはずです。

星 悠真
星 悠真

超音波式、スチーム式、気化式など…種類が多くて何を選べば良いか迷ってしまいますよね。

一級建築士として、建物の構造(断熱性・気密性)に関わらず最も失敗しない選択肢と断言できるのが、「気化ハイブリッド式」です。

【理由】建物の「断熱性能」に合わせて自動調整してくれるから

加湿器には「スチーム式」「超音波式」「気化式」などがありますが、それぞれ建物の構造によって向き不向きがあります。

  • スチーム式:パワーはあるが、高気密な住宅では結露(カビの原因)になりやすく、電気代も高い。
  • 超音波式:本体代は安価だが、白い粉(ホワイトダスト)が出るため手入れが大変
  • 気化式:省エネだが、断熱性の低い部屋では寒くて湿度が上がりきらないことがある。

そこで推奨するのが「気化ハイブリッド式」です。

これは「水を含んだフィルターに風を当てる(気化式)」と「温風で加湿スピードを上げる(温風式)」の2つの性質を併せ持っています。

  1. 部屋が寒く乾燥している時:ヒーターをONにして、スチーム式並みのパワーで急速加湿。
  2. 湿度が安定してきた時:ヒーターを切って、送風のみの省エネ運転(気化式)に自動切り替え。

つまり、あなたの家の断熱性能やその日の気温に合わせて、加湿器が勝手に「最適解」を選んで運転してくれるのです。これなら、「木造かプレハブか」で悩んで多少高スペックな加湿器を購入しても、機械側でカバーしてくれます。

【広さ別】一級建築士が選ぶ、失敗しない「気化ハイブリッド式」加湿器

image : Amazon

ここからは、通販レビューでも特に信頼性が高く、サイズ展開が豊富な「ダイニチ(Dainichi)」の製品を例に、部屋の広さ別のおすすめを紹介します。

例として一般的な築20年以下のRC造マンションを想定しています。ご自身の部屋と照らし合わせて、是非参考にしてください。

① 寝室・子供部屋・ワンルーム(~8畳)

個室やワンルームマンションには、コンパクトな300mL/hクラスが最適です。 このクラスは本体サイズが非常に小さいため、ベッドサイドやデスク周りに置いても邪魔になりません。

  • 能力スペック:プレハブ洋室8畳 / 木造和室5畳

「小さいとパワー不足では?」と心配になるかもしれませんが、ドアを閉め切ることの多い寝室や個室であれば、気化ハイブリッドの効率の良さで十分に潤います。静音性が高いのもダイニチの特徴で、枕元に置いても快適に眠れます。

② リビング・ダイニング(プレハブ洋室~14畳)

一般的なリビングダイニングには、標準的な500mL/hクラスが最適です。 最近の一般的なマンションであれば、14畳程度まではこのサイズでしっかりカバーできます。

  • 能力スペック:プレハブ洋室14畳 / 木造和室8.5畳

他メーカーでは「個室用」とされることも多い500mLサイズですが、ダイニチのハイブリッド式はパワーが安定しているため、断熱性がしっかりしているお家ならメイン機として十分活躍します。本体価格と性能のバランスが最も良い「コスパ最強」のクラスです。

③ LDK(プレハブ洋室~19畳)

キッチンとリビングが繋がり、広さが15畳を超えてくるLDKには、パワーのある700mL/hクラスを選びましょう。 LDKはキッチンの換気扇による空気の入れ替えが激しいため、ワンランク上の加湿能力が必要です。

  • 能力スペック:プレハブ洋室19畳 / 木造和室12畳

このクラスであれば、家族が集まってドアの開閉が増えても、素早く湿度をリカバリーできます。「リビングが広めだけど、巨大な加湿器は置きたくない」という方に最適です。

④ 高天井・吹き抜けリビング

吹き抜けがある、天井が高い、あるいは20畳を超える広い空間。 ここには、家庭用としては最大クラスの900mL/h ~ 1200mL/hクラスが必要です。 記事内で解説した通り、天井が高い空間は「空気の体積」が大きいため、床面積以上のパワーがないと湿度が上がりません。

  • 能力スペック(900mLクラス):プレハブ洋室24畳 / 木造和室14.5畳
  • 能力スペック(1200mLクラス):プレハブ洋室33畳 / 木造和室20畳

900mLクラスはパワーとサイズのバランス型。 さらに上のLXシリーズ(1200mL級)は、タンク容量が大きく「給水回数が劇的に減る」というメリットがあります。広い家の乾燥対策は、余裕を持ったパワーを選ぶのが鉄則です。

まとめ|加湿器は「木造和室」か「プレハブ洋室」かを建物構造で見極めよう

加湿器を選ぶとき、「木造和室」「プレハブ洋室」のどちらの畳数を基準にするかは、あなたの住まいの構造で決まります。

築年数が古い木造住宅や木造アパートは、壁や窓の断熱性が低く湿気が逃げやすいため「木造和室」表示を参考にしてください。一方で、RC造や鉄骨造のマンション、新しい戸建て住宅は断熱・気密性が高く「プレハブ洋室」基準で選ぶのが正解です。

加湿器の畳数表示は、部屋の広さだけでなく「空気の逃げやすさ」を考慮した目安です。

そのため、天井が高い部屋や吹き抜けのあるリビングでは、1.2〜1.3倍ほど大きめの加湿能力を選ぶと快適さが続きます。

また、方式に迷ったら建物の状況に合わせて自動でパワーを調整してくれる気化ハイブリッド式を選べば、電気代と加湿能力の両立が可能です。

是非適切な加湿器を選んで、最適な湿度環境をつくりましょう!

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