一級建築士の星悠真です。
「賃貸のエアコンが効かない」「部屋が暑すぎて毎日つらい」
そんな悩みを抱えているあなたへ。
とくに築年数が古い物件は、備え付けのエアコンが老朽化していることが多いです。
建物自体の断熱性能が低かったりすることで、猛暑に太刀打ちできないことも。
この記事では、冷房が効かないときにチェックすべき4つのポイントをわかりやすく解説します。
また、記事の最後に現実的な猛暑対策を3つ紹介します。

賃貸では設備を自由に変えられませんが、工夫次第で快適さは取り戻せます!
冷房が効かない原因は「エアコンの劣化」と「断熱不足」

賃貸物件のエアコンは、数年〜十数年前に設置したものがそのまま使われているケースも。その場合、経年劣化によって冷房能力が落ちていることがあります。
特に古い物件では、10年以上前のエアコンが備え付けられている場合も珍しくありません。
また、賃貸物件はコスト重視で建てられることが多いです。そのため、断熱材がほとんど入っていなかったり、窓ガラスの熱がそのまま伝わったりと、そもそも「冷房が効きにくい構造」になっていることも原因です。
つまり、あなたがどれだけ冷房を強くしても、冷房が効きにくい部屋の構造では、室温は思うように下がらないのです。
冷房が効かないときにチェックすべき4つのポイント
まず最初に確認すべきなのは、次の4つの基本的なチェック項目です。
ここにエアコンが効かない原因が隠れていることも多いです。
①フィルターにホコリが詰まっていないか?

まずは、フィルターのホコリをチェックしましょう。
フィルターにホコリがたまっていると、風の通りが悪くなり、冷房能力が大きく落ちます。
冷気が出ているようで、部屋が冷えない場合、まずここをチェックしてみてください。
フィルターは2週間に1回は掃除するのが理想です。掃除機で吸うか水洗いするだけで、冷房効率が見違えるほど改善されます場合があります。
②室外機が直射日光にあたっていないか?

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室外機は、室内の熱を外に逃がす役割を担っています。
真夏に直射日光が当たると、うまく放熱できず冷却能力が落ちます。
バルコニーやベランダの室外機が直射日光に当たっている場合、日陰をつくるだけで、エアコンの効きが改善されることがあります。
専用の室外機カバーも発売されているので、うまく活用しましょう。
③日射を室内に取り入れていないか?

日中、直射日光が室内に入り込んでいませんか?
カーテンが薄手だったり、レースだけだったりすると、日射熱が容赦なく室内に入り込んできます。
昼間の西日や南からの太陽光は強力で、エアコンが効かなくなることも。
その場合、遮熱カーテンを取り入れて、太陽熱を遮断することが大切です。

なお、これはあくまで直射日光が部屋に入り込んでいる時のポイント。現状、直射日光が入り込んでいなければ遮熱カーテンの効果は薄いです。
④冷媒ガスが漏れていないか?
エアコンから風は出ているのに全然冷たくない。そんな場合は、冷媒ガス漏れの可能性もあります。
冷媒ガス漏れは自身で修理することはできませんので、早めに管理会社に相談しましょう。
「風は出てるけど冷えない」状態なら、すぐに管理会社経由で業者の点検を依頼すべきです。
コラム:冷房を入れる前に窓を開けて、熱気を逃す

真夏の室内は、閉め切っていると外より暑くなることもあります。
その場合、冷房を入れる前に、まず窓を開けて部屋の熱気を逃がしてから運転を始めましょう。
このひと手間だけで、冷房が効き始めるまでの時間が大幅に短くなり、エアコンの負荷も減ります。
とくに日中誰もいない部屋に帰宅したときなどは、すぐにエアコンをつけるのではなく、2〜3分換気することをおすすめします。
これは、部屋の断熱性が低い古めの物件でおすすめの方法です。
冷房が効かない賃貸に効果的な猛暑対策3選|一級建築士厳選
ご紹介した4つのポイントをチェックしてもなお、冷房が効かない場合の対策を3つ紹介します。
① サーキュレーターで冷気を循環させる

エアコンの冷気は下にたまりやすいため、空気を循環させることで部屋全体が涼しくなります。エアコンの下に置き、壁に向けて風を当てて循環させると、冷房効率が上がります。
価格が手頃で設置も簡単です。(3,000円〜10,000円が目安)
また、DCモーターの場合、消費電力が低く1時間あたり約1円とお財布にも優しいです。
▽サーキュレーターの選び方とおすすめモデル▽
サーキュレーターは部屋の広さで決める!選び方と厳選7選|一級建築士厳選【2025年版】
② ポータブルクーラーで冷房を補助する
備え付けのエアコンがどうしても弱い場合は、ポータブルクーラーを併用するのも有効です。
大きく分けて、「排熱ダクトありタイプ」と「排熱ダクトなしタイプ」があります。
排熱ダクトありタイプ(冷風機能付きスポットエアコン)

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室内の熱を外に逃がすためのダクトを、窓などから屋外に出すタイプです。
家庭用エアコンと同様に冷風を作り出しつつ、発生した熱を効率よく屋外へ排出できます。
メリット
- 冷房効果が比較的高い
- 冷風と排熱を分離できるため、効率が良い
デメリット
- 排熱ダクトを窓に設置する手間がある
- ダクト設置用の窓パネルにより美観が損なわれる
排熱ダクトなしタイプ(冷風扇・スポットクーラー)

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排熱を伴わないタイプで、水の気化熱を利用して冷風を送り出す冷風扇が代表的です。
見た目は扇風機に近く、給水して電源を入れればすぐ使えるのが特徴です。
メリット
- 軽量でコンパクト、移動も簡単
- 工事もダクト設置も不要
- 消費電力が少なく、電気代が安い(1時間あたり数円)
デメリット
- 部屋全体を冷やす能力はない(体感温度を下げる程度)
- 湿度が上がるため、梅雨時や高湿度環境では不快に感じる
- 給水する手間がかかる
冷房効果を第一に求めるなら排熱ダクトありのタイプがおすすめです。
一方、ダクトの存在感やインテリアとの調和が気になる方には排熱ダクトなしタイプをおすすめします。
ほんとに涼しい冷風扇の選び方は、以下の記事で紹介しておりますので参考にしてください。
【2025年版】ほんとに涼しい排熱ダクトなしのスポットクーラーの選び方とおすすめ5選|一級建築士が解説
③ 冷感寝具で体感温度を下げる

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就寝時に暑くて寝れない方は、寝具の見直しをおすすめします。
接触冷感や吸湿素材の敷きパッド・シーツは、体感温度の調整に効果があります。
接触冷感素材は、肌に触れた瞬間に約2〜3℃の体感温度低下が期待できます。寝苦しい夜の対策として、まずは取り入れやすい寝具から始めてみましょう。

肌に触れた瞬間は快適ですが、冷感効果は一時的です。持続性には限界があるので、必ず冷房と併用しましょう。
まとめ|冷房が効かない賃貸でも工夫次第で快適に過ごせる

賃貸物件で「冷房が効かない」と感じたら、それは設備や建物の性能に原因がある可能性が高いです。
しかし、正しく原因を把握し対策を講じることで、状況は改善できます。
まず、確認すべき基本チェックポイントは以下の4つです。
①フィルターのホコリ詰まり
②室外機が直射日光にさらされていないか
③窓からの強い日射がそのまま室内に入っていないか
④冷媒ガスの漏れや不足がないか
これらをチェックするだけでも、冷房効率は大きく変わる可能性があります。
加えて、賃貸でも導入しやすい3つの猛暑対策グッズを紹介しました。
①サーキュレーター:冷気を循環させて部屋全体を均一に冷やす
②ポータブルクーラー:エアコンの冷房効果を補助する
③冷感寝具:寝苦しい夜を快適にする
この記事で紹介した対策を、是非暮らしに取り入れてみてください。あなたの夏の暮らしが少しでも快適になることを願っています。
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