「1階が店舗」の賃貸はアリ?ナシ?
賃貸物件を探していると、「1階が店舗付き」という物件に出会うことがあります。
1階がコンビニやスーパーで、2階以上が住居になっているようなタイプです。
こうした物件に対して、
- 「便利そうだけど、騒がしくない?」
- 「飲食店の上だと虫が出そうで不安…」
- 「でも家賃が安ければ検討したい」
と感じたことはありませんか?
私は一級建築士として、多くの物件の建築設計に携わってきました。
その経験を生かして、住む上での“落とし穴”、さらには選ぶべき条件などをご紹介します。
この記事では、1階が店舗になっている賃貸物件のメリット・デメリットを具体的に解説します。
これから賃貸を検討している方にとって、きっと参考になるはずです。
1階が店舗付きの賃貸|3つのメリット

①家賃が相場より安い傾向がある
1階が店舗の物件は「家賃が割安」な傾向があります。
店舗併設物件は以下のような理由から、同じエリア・築年数・広さで比べても5~10%ほど安くなるケースがあります。
- 騒音や臭いへの懸念があるため需要がやや少ない
- 利用者側が「一般的な住居」としては敬遠しがち
- オーナーがテナント収入で補填しており住居家賃を下げられる
つまり、「割安+便利」を両立させたい人には狙い目な物件です。
②コンビニやスーパーが真下にある便利さ
1階に日常生活に直結する店舗があると、暮らしの快適度が一気に上がります。
- 深夜でも食料や日用品を買える(コンビニ)
- 重い荷物を持って移動する距離がほぼゼロ(スーパー)
- 時間のロスが減る=タイパ最強
③防犯効果がある
夜間の人通りが少ないエリアでは、1階に営業している店舗があることで防犯性が高まることもあります。
- 1階店舗の明るい照明が防犯灯代わりに
- 人の出入りがあることで不審者が近づきにくい
- 万が一のトラブル時に駆け込める
要注意!1階が「飲食店」の場合に起こる3大トラブル

1階が店舗付きの賃貸物件のメリットを紹介してきました。
一方で、1階が居酒屋やレストランなど「飲食店」の場合は注意が必要です。
①ゴキブリなどの害虫リスクが高い
飲食店では食品や生ごみを扱うため、虫が寄りやすくなります。
排水口や配管ダクトを通じて、上階に虫が侵入することも。
② 臭いや煙が上階に流れてくる
換気設備の仕様や排気位置によっては、油やにんにく系の匂いが居室やベランダまで届くことがあります。
古い建物や、ダクト配置が良くない物件では、洗濯物に臭いがついてしまうケースも。
③営業時間や客層による騒音リスク
深夜営業や居酒屋・バーなどが入っていると、客の声・BGM・搬入音などが日常的に発生します。
また、客層によっては喫煙マナーの悪さやゴミ出し、違法駐輪などの周辺トラブルに発展することも。
一級建築士が教える|1階が店舗でも「選んでOKな物件」の条件

①店舗の業種を確認する
おすすめの業種は以下の通りです。
- スーパー・コンビニ・ドラッグストア
- クリーニング店・学習塾
- 郵便局・銀行などの公共系施設
- 美容室
②店舗との動線が分離されているか
- 住居用エントランスと店舗動線が別になっている
- 搬入ルートが居住エリアと交差しない
- 駐車場・駐輪場が店舗と共用でない
これらの条件を満たす物件は、店舗の影響が出にくく快適に暮らせます。
③防音・換気構造がしっかりしているか
- 店舗用と住居用の排気が分かれているか
- 窓が二重サッシ・構造がRC造など防音に配慮されているか
- 煙・臭いの流入経路が物理的に遮断されているか
これらを判断するためには、実際に内見するのをおすすめします。
その際に臭いや音の状態を確認するのが重要です。
▽防音についてはこちらもチェック▽
④できるだけ上階を選ぶ
1階店舗付き物件では、階が上がるほど騒音や臭い、虫の影響を受けにくくなります。
特に飲食店が入っている場合は、低層階は注意が必要です。なるべく上階を選びましょう。

私は1階にコンビニが入ったマンションの7階に住んでいたことがあります。虫はほとんど出ず、騒音もほとんど気にならない環境でした。
建物の構造や清掃管理の程度にもよりますが、上層階を選ぶことはリスク回避の一つとして有効です。
まとめ|飲食店はNG、生活店舗はアリ!

「1階が店舗付き」というだけで敬遠するのはもったいないです。
コンビニやスーパーなどが直下にある物件は、家賃も安く、生活効率も高い優良物件です。
ただし、飲食店の上は「臭い・騒音・虫」の三重苦になりやすいため避けたほうが無難。
選ぶべきは「生活を支える静かな業種+構造的に配慮された建物」。
この視点を持てば、1階店舗付き賃貸物件は、コスパ・タイパ最強の物件となるでしょう。
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