一級建築士の星悠真です。
「オイルヒーターを使いたいけれど、うちは木造だから温まらないかも……」と悩んでいませんか?
ネット上のレビューを見ると「木造住宅では使い物にならない」という声もあれば、「十分暖かい」という声もあり、混乱してしまいますよね。
実は、オイルヒーターが効くかどうかは「木造か鉄筋か」という構造の違い以上に、プロの視点から見ると別の「重要な指標」があります。

この記事を読めば、あなたの住まいがオイルヒーターに向いているのか、それとも別の選択肢を選ぶべきなのかが明確にわかります。
- 木造住宅でオイルヒーターは効かない?
- オイルヒーターに必要な断熱性能の考え方
- 最新の木造住宅なら十分に部屋を温められる
- 築20年以上の木造住宅でオイルヒーターを使う際の注意点
- 木造住宅の弱点をカバーする「オイルレスヒーター」とは
- まとめ:住まいの構造に合わせて賢く暖房を選ぼう
木造住宅でオイルヒーターは効かない?

ネット上のレビューでよく見られる「木造住宅ではオイルヒーターは効かない」という説は、半分正解で半分は間違いです。
建物の断熱性能が極端に低い場合に限り、オイルヒーターの熱は外へ逃げてしまいます。
しかし全ての木造住宅に当てはまるわけではなく、建物の「質」を見極めることが重要です。
輻射熱という暖房の仕組みを理解する
オイルヒーターは、本体から出る「輻射熱」で壁や床を直接温める仕組みです。 焚き火のように、じわじわと熱を伝えるため、空気を乾燥させにくいメリットがあります。
しかし、この熱は壁の隙間や断熱材の薄い場所から、外へと逃げ出しやすい性質を持ちます。
なぜネットで「効かない」と言われるのか
昔の木造住宅は、風通しを重視した「隙間の多い構造」が主流でした。 このような環境では、オイルヒーターが発する微細な熱がすぐに逃げてしまいます。
その結果として、「いつまで経っても部屋が温まらない」という不満の声が生まれていると考えられます。
オイルヒーターに必要な断熱性能の考え方

建物の暖まりやすさを決めるのは、木造か鉄筋コンクリートかという構造の違いではありません。
壁の中にある断熱材の厚みや、隙間の少なさを表す「気密性」が最も重要な指標です。 一級建築士として断言しますが、断熱性能さえ基準を満たせば木造でも十分に快適です。
魔法瓶のような家が理想
理想的な室内環境は、熱を外に逃がさない「魔法瓶」のような状態を指します。
高性能な断熱材が隙間なく充填されていれば、オイルヒーターの熱は室内に留まります。 この状態であれば、一度温まった部屋は冷めにくく、少ない電力で温度を維持できます。
いかに熱を閉じ込めるかが暖房効率の鍵となります。
窓の断熱性能が最大のチェックポイント
家の中で最も熱が逃げる場所は、壁ではなく「窓」です。
古い木造住宅に多いアルミサッシは、熱を通しやすくオイルヒーターの天敵となります。一方で、樹脂サッシや複層ガラスを採用している家なら、熱の流出を大幅に抑えられます。
ご自宅の窓を触ってみて、外の冷たさを強く感じる場合は対策が必要です。
最新の木造住宅なら十分に部屋を温められる

近年の新築や築浅の木造住宅は、省エネ基準が非常に高い断熱性を持つ家が多いです。
そのため、最新の基準で建てられた家なら、オイルヒーターでも快適に過ごせます。気密性が確保された現代の木造住宅は、オイルヒーターの特性を最大限に活かせる空間です。
2000年以降の基準変化による性能向上
日本では2000年を境に、省エネに関する基準が大きくアップデートされました。
この基準は法的な義務ではないため全ての物件に当てはまる訳ではないですが、築10年から15年程度の比較的新しい物件ならオイルヒーターは十分に機能します。
今の木造住宅は、昔のイメージとは異なり非常に高い保温性を持っています。
ZEHレベルの住宅なら最高の相性となる
最近普及しているZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、究極の断熱住宅です。
ZEHの家では、ごくわずかな熱源でも家中が一定の温度に保たれます。 オイルヒーター特有の「お日様のような暖かさ」が、家中を優しく包み込んでくれます。 ZEHに住んでいる方にとって、急激な温度変化のないオイルヒーターは理想的な選択肢です。
一級建築士おすすめのオイルヒーター
築浅の木造住宅に住んでいる方は、伝統と信頼のオイルヒーターが最適です。
デロンギ ユニカルド オイルヒーター|高断熱住宅に最適なスタンダード

image : Amazon
築浅の木造住宅にお住まいなら、デロンギのスタンダードモデルがおすすめです。世界トップシェアを誇るデロンギは、輻射熱と自然対流のバランスが非常に緻密に計算されています。
オイルの蓄熱性を活かした「じわじわとした暖かさ」は、一度温まると冷めにくい高断熱住宅と非常に相性が良いです。 電源を切った後も30分ほど暖かさが持続するため、就寝前の使用に適しています。
築20年以上の木造住宅でオイルヒーターを使う際の注意点

築年数が古い木造住宅は、オイルヒーターはお勧めできません。
壁の内部で断熱材が湿気により沈下し、隙間ができているケースも多々見受けられます。 このような家では、暖まる前に熱が外気で冷やされ、電気代だけが高騰する傾向にあります。
昔の断熱材は「ただ入っているだけ」が多い
20年以上前では、現在のような緻密な断熱施工が行われていない場合があります。 断熱材の厚みが不十分であったり、コンセント周りから隙間風が入ったりする状態です。
オイルヒーターはパワーが控えめなため、こうした「漏熱」がある部屋には不向きです。
アルミサッシの隙間風が効果を打ち消す
古い木造住宅の多くは、単板ガラスのアルミサッシが使われています。 冬場、窓際に行くとヒヤッとするのは、外からの冷気をダイレクトに通しているからです。
オイルヒーターはこの冷気の勢いに勝てず、部屋の温度が上がりきらないことが多いです。 窓の断熱リフォームをしない限り、オイルヒーターの恩恵を受けるのは難しいでしょう。
木造住宅の弱点をカバーする「オイルレスヒーター」とは
断熱性能に不安がある古い木造住宅には、速暖性に優れた「オイルレスヒーター」が最適です。
内部にオイルを持たず、アルミフィンなどを電気で直接加熱して空気を温めます。 オイルヒーターの「静かさ」や「空気の綺麗さ」を維持しつつ、速暖性を強化した家電です。
オイルヒーターの欠点を克服した最新技術
オイルレスヒーターは、オイルを温める工程がないため、スイッチを入れてすぐに温まります。 熱伝導率の高い素材を使用しており、放熱のスピードが格段に速いのが特徴です。
気密性が低い木造住宅でも、立ち上がりの速さで寒さをカバーすることが可能です。
表面温度が低く安全な設計はそのまま
機能は強化されていますが、オイルヒーター最大の長所である安全性や空気の清潔性は損なわれていません。
本体の表面温度は、触れてもすぐに火傷をしない程度に抑えられています。 また、燃料を燃やさないため、一酸化炭素中毒の心配がなく、換気の手間も減ります。
一級建築士おすすめのオイルレスヒーター
築年数が経過した木造住宅には、オイルレスヒーターをお勧めします。
ここでは、速暖性、安全性、省エネ性のバランスが良いオイルレスヒーターを3モデル紹介します。是非参考にしてください。
【第1位】ケノンヒーター「スグダン」|圧倒的な速暖性と省エネ性が魅力のオイルレスヒーター
スグダンは速暖性、省エネ性、静音性のバランスが高く、断熱性能が低い部屋でも暖かさを作れる万能型のオイルレスヒーターです。
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すぐ暖まる“秒速暖房”が本当に優秀
スグダンは通電後すぐに熱を放出するため、部屋が冷えた状態でも快適な温度を作れます。特に築年数が古い家や、窓の断熱性が弱い部屋には大きなメリットがあります。
電気代を抑える独自の制御システム
室温の変化に合わせて微細に出力調整するため、省エネ性が高い構造です。オイルヒーターより電力負担が軽く、長時間の使用でも家計にやさしい点が魅力になります。
本体表面が熱くなりにくい
触れてもやけどしにくい安全設計で、小さな子どもやペットがいる家庭でも安心して使えます。温風を使わないため、乾燥が気になる人にも向いています。
デザイン性と可搬性が高く使いやすい
スリムな構造で置く場所を選ばず、部屋の雰囲気を崩しません。取っ手やキャスターも使いやすく、女性でも楽に移動できます。
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【第2位】デロンギ マルチダイナミックヒーター MDHU15|オイルレス構造で温度ムラの少ない快適暖房

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デロンギ マルチダイナミックヒーター MDHU15は、オイルヒーターの弱点を克服した高級オイルレスヒーターで、快適性を重視したい家庭に向いています。
温度ムラの少ない“体感温度の高さ”が優秀
デロンギ独自のヒーターブロックが部屋を均一に暖めるため、暖房によくある“上下温度差”が少ない快適な環境を作れます。冬の肌寒さを強く感じる部屋には効果的です。
乾燥しない“質の高い暖房”
温風を出さず、ふく射熱を中心に暖めるため、肌や喉が乾きにくい環境を作れます。乾燥に敏感な人や、静かな暖房を求める家庭に向きます。
高い静音性とやけどしにくい安全設計
ヒーターブロックの温度が上がりすぎないため、触れても危険性が低い構造です。寝室でも使いやすく、子どもが近づく環境でも安心できます。
【第3位】コロナ オイルレスヒーター DHS-1222|国産メーカーの安定感と扱いやすさが魅力

image : Amazon
コロナ(Corona) オイルレスヒーター DHS-1222は、操作のしやすさと速暖性を備えた国産の安心モデルで、シンプルに暖かさがほしい部屋に向いています。
必要十分な速暖性で寒い朝にも強い
電源を入れてから暖まるまでが速く、冷え切った部屋でも短時間で快適さを作れます。特に築年数が古い家や、ガラスの断熱性が低い部屋に強みがあります。
表面温度が低く、安全対策も充実
転倒OFFスイッチや過熱防止機能など、安全面の配慮が多いモデルです。子ども部屋や寝室にも使いやすい構造です。
コストパフォーマンスに優れた国産モデル
価格が比較的抑えられており、オイルレスヒーターの導入としても選びやすい製品です。「とにかく暖めたい」「余計な機能はいらない」という家庭にぴったりの暖房です。
まとめ:住まいの構造に合わせて賢く暖房を選ぼう
オイルヒーターが効くかどうかは、建物の「断熱性能」によって決まることがお分かりいただけたでしょうか。
木造だからと一括りに諦める必要はなく、ご自身の住まいの築年数や窓の作りを確認してください。 最新の住宅であれば、オイルヒーターの心地よい暖かさを存分に味わうことができます。
一方で、築年数が古い木造住宅にお住まいの場合は、無理にオイルヒーターを使うのは禁物です。
電気代を抑えつつ快適に過ごすために、オイルレスヒーターという選択肢を検討してください。
建築のプロの視点から言えば、家電選びは「家の性能との対話」が最も大切です。 正しい知識を持って家電を選び、冬の暮らしはもっと豊かで快適にしましょう。


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