一級建築士の星悠真です。
台風の強風や飛来物で、賃貸物件の窓が割れてしまったとき、どうすればいいのか分からず不安になりますよね。
結論から言うと、対応の流れは次の5つです。
- 安全確保と応急処置を行う
- 大家や管理会社に連絡する
- 火災保険や家財保険の適用を確認する
- 修理費の負担者を確認する(自然災害は大家負担が原則)
- 修理までの間は防犯・防寒対策をする
読むことで、慌てず冷静に対応でき、無駄な出費やトラブルを避けられます。

台風被害で不安な方にとって、実際に役立つ知識をまとめました。
①安全確保と応急処置を行う

窓ガラスが割れた直後は、けがを防ぎ二次被害を抑えるための応急処置が最優先です。
割れたガラス片の処理
窓が割れると、大小さまざまなガラス片が床に飛び散ります。小さな破片は目に見えにくく、素足で歩けば大けがにつながります。
必ず靴や厚手のスリッパを履き、掃除機やほうきで片付けましょう。吸引力の弱い掃除機では細かな破片を吸えないこともあるので、ガムテープを丸めて破片を拾う方法も有効です。
ガラスは燃えるゴミではなく、不燃物として出す自治体が多いため、新聞紙や段ボールで包んで処分するのが安全です。
応急的な窓の補修
割れた部分をそのままにすると、雨風が入り込み部屋全体が濡れてしまいます。
養生テープでガラスを固定し、段ボールやブルーシートを貼り付けて仮の壁を作りましょう。
テープは米字状に貼ると補強効果が高まります。

また、サッシ部分の隙間から雨水が侵入することもあるため、雑巾やタオルを置いておくと良いです。
②大家や管理会社に連絡する

窓が割れたら勝手に修理を依頼せず、必ず大家または管理会社に連絡してください。
連絡の順番を守る
賃貸物件では建物の所有者は大家です。入居者は借りて住んでいる立場なので、修理や費用負担を勝手に決めることはできません。管理会社や大家に報告し、指示を仰ぐのが正しい順序です。
もし入居者が独断で業者を呼んで修理した場合、その費用を大家が認めない可能性があります。その結果「勝手に修理したのだから自己負担」と言われてしまうケースもあります。
連絡時に伝えるべき内容
管理会社や大家に電話するときは、以下を整理して伝えましょう。
・割れた原因(台風の強風、飛来物など)
・破損の状態(完全に割れたのか、ひび割れ程度か)
・応急処置を行ったかどうか

写真を撮って送れる場合は、現場の状況を画像で示すとさらにスムーズです。
連絡がつかない場合の選択肢
休日や夜間は管理会社につながらないこともあります。
その場合は応急処置を行ったうえで、翌営業日に報告すれば問題ありません。
どうしても危険が大きいと判断した場合には、緊急対応可能な修理業者を呼ぶのも一つの手です。その場合でも領収書や修理内容を必ず記録しておきましょう。
③火災保険や家財保険の適用を確認する

台風による窓の破損は火災保険の「風災補償」でカバーされる可能性が高いです。
火災保険で補償されるケース
多くの賃貸契約には火災保険がセットで含まれています。
火災保険といっても火事だけでなく、台風・強風・竜巻などによる被害も補償対象に含まれることがあります。これを「風災補償」と呼びます。

ただし、免責金額(例えば自己負担1万円)や、補償限度額が設定されていることもあるため、契約書や保険証券を確認する必要があります。
家財保険が使える場合
窓ガラス自体は大家の所有物なので、原則として入居者の家財保険ではカバーされません。
しかし、窓の破片が飛び散ってテレビが壊れた、家具が傷ついたなどの場合は、家財保険の補償対象となります。
保険金申請の流れ
保険を利用する場合は以下の手順で進めます。
- 管理会社に被害状況を報告する
- 保険会社へ連絡する
- 写真を撮影して提出する
- 修理後の領収書を提出する
- 保険金が支払われる
迅速に対応するためには、被害直後の現場写真を撮影しておくことが非常に重要です。
④修理費の負担者を確認する(自然災害は大家負担が原則)

結論として、台風などの自然災害による窓割れは原則として大家の負担になります。
大家が負担するケース
自然災害は入居者の責任ではありません。
そのため修理費用は建物の所有者である大家が負担します。入居者は安心して管理会社に報告すれば大丈夫です。
入居者が負担するケース
一方で、入居者の過失によって窓が割れた場合は自己負担になります。
例えば窓を開けたまま強風を受けて破損した、室内から物をぶつけて割ったなどが典型例です。契約書の「原状回復」に関する条項に従って負担が決まります。
修理費用の相場
窓の修理費用はガラスの種類によって大きく変わります。
・一般的なフロートガラス:1枚1万円前後
・強化ガラス:2〜3万円程度
・合わせガラス(防音・防犯):3〜5万円以上
サイズが大きい場合や特殊なガラスの場合はさらに高額になります。

保険が使えるかどうかで、入居者の負担額は大きく変わります。
⑤修理までの間は防犯・防寒対策をする

修理までの間は防犯と防寒の両方を意識した対策をおすすめします。
防犯対策
窓が割れたままでは、空き巣に狙われやすくなります。
段ボールやベニヤ板をしっかり固定し、外から見えないようにしましょう。夜間は必ずカーテンを閉め、外から家の中が見えない工夫をすることが重要です。
防寒・防音対策
窓が破損すると外気が入りやすくなり、室温が下がってしまいます。
段ボールの上から新聞紙やラップを貼れば、一時的に寒さをしのげます。
騒音対策としても、窓を塞ぐことである程度の音を遮ることができます。

特に台風後は周囲が騒がしくなるため、防音効果は生活を快適に保つうえで重要です。
修理までの生活の工夫
暖房機器を窓側に置かない、雨が吹き込む部分にはバケツやタオルを置くなど、小さな工夫で被害を軽減できます。
まとめ|台風で窓が割れたときの正しい対応

台風で賃貸物件の窓が割れたときは、次の流れで行動することが大切です。
- 安全確保と応急処置を行う
- 大家や管理会社に連絡する
- 火災保険や家財保険の適用を確認する
- 修理費の負担者を確認する
- 修理までの間は防犯・防寒対策をする
この流れを押さえておけば、不安や出費を最小限に抑えられます。
窓割れは冷静に手順通りに進めれば必ず解決できます。この記事を参考に、安心して住まいを守ってください。
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