一級建築士の星悠真です。
「マンションの20畳のリビングに、14畳用のエアコンを使っても大丈夫?」と悩んでいる方へ。
家電量販店で「20畳の部屋です」と伝えると、高価格な20畳用エアコンをすすめられることが多いです。
しかし、実際には築浅マンションであれば、14畳用エアコンで十分に冷えます。

この記事では、エアコン畳数表記のカラクリ、部屋の条件による差、実体験まで含めて解説します。
最後まで読むことで、「無駄なエアコン購入」を防ぐ判断力が身につきます。
14畳用エアコンでも20畳のマンションに使える理由|畳数表記は昔の木造が基準

エアコンの「◯畳用」という表示は、1964年に定められた「昔の木造住宅」を基準にしています。
この基準は、断熱性も気密性も今ほど高くない時代のものです。つまり、現代のマンションにそのまま当てはめるのは適切ではありません。
特に最近のマンションでは、以下のような特徴があります。
- 外壁や屋根にしっかり断熱材が入っている
- 窓サッシの気密性が高い
- 木造住宅よりも躯体そのものに断熱性がある
このような住まいでは、エアコンの効きが非常によくなります。

あなたが築20年以内の一般的なマンションに住んでいるなら、14畳用エアコンでも20畳を空調する能力が十分にある可能性は高いです。
部屋の条件によって必要なエアコン能力は変わる|築年数と断熱性が大きなカギ
ただし、「マンションなら全部14畳用でいける」というわけではありません。

あなたの部屋の条件次第で、必要な冷房能力は大きく変わります。たとえば、以下のようなポイントが影響します。
- 築年数が古く、断熱材が不十分な建物
- 単層ガラスやアルミサッシで窓からの熱が入りやすい
- 天井が高い、または部屋の形が複雑
目安は築20年以内のマンションで、一般的な断熱施工がされていれば、14畳用でも十分です。
ただし、次に紹介するようなケースでは夏場に注意が必要です。
最上階・角部屋
屋根や外壁から熱が伝わりやすいため、室温が上がりやすくなります。
夏の夜でも熱がこもりやすく、冷房効果が下がることがあります。
窓が多い、または南・西向き
窓から日射熱が入りやすいと、室内温度が上がりやすくなります。
冷房の効きが悪くなる要因になります。
ロフトや吹き抜けがある
冷気は下に溜まりやすく、暖かい空気は上へと逃げていきます。
吹き抜け構造では、冷たい空気が循環せず、体感温度が下がりにくくなります。

とはいえ、これらの条件に当てはまっていても、サーキュレーターや遮熱カーテンを使うことで、14畳用エアコンでも快適に過ごせるケースが多いです。
【実体験】20畳リビングに14畳用エアコンで問題なし

私自身、約20畳のLDKで、14畳用エアコンを使用しています。住んでいるのは、築10年ほどの鉄筋コンクリート造のマンションです。
角部屋ではなく、南向きに大きめの窓が2つある部屋です。
使っているのは、TOSHIBA 大清快(2021年発売)の14畳対応モデル。生産終了しているモデルなので、以下にスペックを載せておきます。参考にしてください。
冷房能力 | 内容 |
---|---|
冷房対応畳数 | 11~17畳(最大17畳) |
冷房能力 | 4.0 kW |
冷房消費電力 | 1380W |

冷房設定温度は27℃、外気温が35℃以上でも快適に冷えています。
暖房能力 | 内容 |
---|---|
暖房対応畳数 | 11~14畳(最大14畳) |
暖房能力 | 5.0 kW |
暖房消費電力 | 1450W |
能力オーバーのエアコンは非効率|電気代も高くなるので注意

20畳用エアコンは、確かにパワーはあります。
しかし、冷房・暖房能力が大きすぎるとすぐ運転が止まり、こまめにオンオフを繰り返してしまうため、効率が悪くなります。
一般的に20畳用のエアコンは1,900〜2,500Wの消費電力ですが、14畳用なら1,000〜1,500Wで済みます。この差は1日数十円、1か月で数千円単位の電気代差になることも。
「大は小を兼ねる」と思って選ぶと、かえって損することもあるのです。

あなたの住環境に合った適正スペックの機種を選ぶことが重要です。
14畳用エアコンを効率よく使う3つの工夫|快適性と電気代を両立する方法
14畳用エアコンをより効果的に使うためには、次のような工夫が有効です。
①サーキュレーターで空気を回す(冷房・暖房時)

サーキュレーターで空気を循環させることで、部屋の上下の温度差をなくすことができます。
夏の冷気は下にたまり、冬の暖気は上にたまります。ですが、サーキュレーターで空気をかき混ぜれば、冷暖房の効きが部屋全体に均一になります。
サーキュレーターの選び方は部屋の広さで決めることが重要です。
20畳のサーキュレーター選び方は、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
【2025年版】20畳以上のおしゃれなサーキュレーター5選と選び方|一級建築士が厳選【エアコン併用】

結果として、夏は1〜2℃高く、冬は1〜2℃低く設定しても快適な室温を保てます。
②遮熱カーテンを活用する(冷房時)

南向き・西向きの窓に遮熱カーテンを取り付けることで、太陽の熱を大幅にカットできます。
室温の上昇を抑え、エアコンの負荷を軽減します。

なお、これはあくまで直射日光が部屋に入り込んでいる時のポイント。現状、直射日光が入り込んでいなければ遮熱カーテンの効果は薄いです。
③ドアを閉めて冷気や暖気の流出を防ぐ(冷房・暖房時)

空調したい部屋とそうでない部屋をしっかり区切りましょう。
開放していると冷気や暖気が逃げ、エアコンの効きが悪くなります。
まとめ|マンションの20畳に14畳用エアコンは十分なケースが多い!無駄な出費を避けよう

築浅で一般的なマンションに住んでいるなら、20畳の空間に14畳用エアコンを使ってもOKです。
ただし、最上階・角部屋・窓が多い部屋などは冷房効率が落ちやすいため、サーキュレーターや遮熱カーテンなどの工夫が必要です。
家電量販店の「畳数目安」は万能ではありません。
あなたの住まいの構造や条件に合った判断が、エアコン選びの成功につながります。
「過剰なエアコンは高くて電気代もかかる」ということをぜひ覚えておいてください。
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