こんにちは。一級建築士の星悠真です。
一人暮らしの賃貸アパート・マンションで「web会議中に声が漏れていないか心配」と悩むあなたへ。
この記事では声漏れの確認方法と具体的な防音対策を解説します。
プライバシーを守りながら安心して在宅勤務・テレワークを続けられる環境を整えましょう。

NG防音対策も紹介します。ぜひ最後まで読んで、今すぐ取り入れられる方法から実践してみてください。
昼と夜では音の聞こえ方が違う|暗騒音がポイント

音の伝わりやすさは、昼と夜で大きく異なります。
これは「暗騒音(あんそうおん)」と呼ばれる背景音の量に関係しています。
時間帯 | 暗騒音の目安 | 備考 |
---|---|---|
昼間 | 40〜50dB | 車や人の声などが常にある |
夜間 | 20〜30dB | 非常に静かで音が響きやすい |
昼間は外の交通音や生活音が多いため、暗騒音の値が高くなります。つまり、声が隣に漏れていたとしても、周囲の音にかき消されて目立ちにくいのです。
一方で夜になると、暗騒音が低下します。外が静まり返り、普段なら気にならない程度の声でもはっきり聞こえてしまうのです。
夜は特に声が聞こえやすくなるので注意が必要
夜の在宅勤務では、声漏れリスクが昼よりも高くなります。暗騒音が少なくなる夜は、壁を通り抜ける声がそのまま隣に届きやすくなります。
そのため夜にWeb会議を行う場合は、昼間以上に防音対策を意識する必要があります。
確認方法はシンプル|隣の生活音が聞こえるかどうか

では実際に、あなたの声が隣に漏れているかどうかを確認する方法は何でしょうか。
答えはとてもシンプルです。
隣の生活音が聞こえるなら、あなたの声も同じように聞こえていると考えてください。
たとえばテレビの音、話し声、掃除機の音などが自分の部屋に届く場合、その壁は声を通しやすい構造である可能性が高いです。
つまり、「聞こえる=聞かれている」と判断するのが現実的です。

日常的に感じる音を基準にすれば、隣への声漏れリスクを十分に把握できます。
NG防音対策|吸音シートは音漏れに効果なし

インターネットで検索すると「吸音シート」や「防音マット」が多数紹介されています。
これらの多くは吸音材であり、室内の反響を抑える効果はあっても、音漏れを防ぐ効果はほぼありません。
壁を通り抜ける音を止めることはできないため、「貼れば安心」と思って購入すると、期待外れに終わってしまうケースが多いです。
声漏れを防ぐためには「壁を重くする」「空気の振動を遮る」といった遮音対策が必要であり、吸音材では根本解決にはなりません。
効果がある防音は工事だが、賃貸では現実的ではない

実際に音を止める効果があるのは「壁の重量を増やす工事」や「二重サッシにする」といった方法です。建築的には、質量を増すことで遮音性能は大きく向上します。
ただし、これは賃貸住宅や1人暮らしの部屋では現実的ではありません。工事の費用は高額になり、さらに賃貸では勝手に施工することができないからです。
では、どうすれば良いのでしょうか。
その答えが「音を消すのではなく、気にならなくする」という発想です。
ホワイトノイズマシン|音を消すのではなく気にならなくする

「音を完全に消そう」と考えるのではなく、音が聞こえても気にならない状態をつくりましょう。
そこで役立つのが「ホワイトノイズ」です。
ホワイトノイズとは、雨音や風の音のように一定の雑音を流す方法のことです。
この音を流すと、あなたの声が隣に漏れたとしても内容が聞き取りにくくなります。在宅勤務中のプライバシーを守るために、とても有効な方法です。

image : Amazon
そこでおすすめなのが、ホワイトノイズマシンの導入です。
ホワイトノイズマシンは音量調整やタイマー機能があり、就寝時にも使えるため、在宅勤務以外の生活シーンでも役立ちます。

私自身も過去に住んでいたアパートで隣人の騒音対策として、ホワイトノイズマシンを使っていました。体感ですが、騒音は70~80%ほど低減されましたよ。
▽ホワイトノイズマシンの選び方とおすすめモデルはこちら▽
隣人の騒音対策に!一級建築士厳選のホワイトノイズマシン5選【2025年版】
【プラスαの対策】重い家具を壁際に配置しよう

家具を壁際に配置すると、壁面の質量が増えて遮音効果が高まります。
本棚やタンスなどの重い家具を隣室との壁に密着させることで、壁の遮音性を高めることができます。
家具の中に入っている本や衣類も、声の振動を吸収してくれるため効果的です。在宅勤務のデスク位置を調整しつつ、隣との壁を家具で覆うだけで声漏れを軽減できます。
まとめ|賃貸でもできるのは「音を消す」より「音をぼかす」こと

本格的な防音対策として効果があるのは、壁を重くする工事や二重サッシの導入です。
しかし、1人暮らしの賃貸住宅ではこれらの方法を取るのは難しく、費用や施工のハードルも高いため現実的ではありません。
そこで大切なのは、発想を切り替えることです。
「音を完全に消す」のではなく、「聞こえても気にならない状態にする」という考え方が、1人暮らしの在宅勤務には適しています。

具体的には、ホワイトノイズを利用することで隣に漏れた声の内容を聞き取りにくくできます。
さらに家具を窓際や隣室との壁際に配置すれば、遮音性を高めてホワイトノイズと相乗効果を得られます。こうした工夫なら、工事不要で今すぐ始められるのも大きなメリットです。
相手にとって「聞こえても気にならない状態」をつくることができれば、在宅勤務はずっと快適になります。
これこそが、1人暮らしで現実的に取り入れられる防音の新しい考え方です。
今日からできる小さな工夫で、あなたの部屋を「安心して働ける場所」へと変えていきましょう。
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