一級建築士の星悠真です。
「ガスファンヒーターを探しているけど、自分の部屋に合うサイズがわからない」「木造とコンクリート造どちらを見るべきかわからない」と悩んでいませんか。
実は自身の家の構造を知らずに「○畳用」という表記だけで選ぶと、後悔する可能性が高いです。
この記事を読めば、建築のプロが実践する「築年数や地域に合わせたガスファンヒーターの選び方」がわかります。
カタログ数値の裏側にある「本当の選び方」を知ることで、スペック不足による買い直しや、無駄な光熱費の支払いを防ぐことができます。

あなたの住まいに最適なガスファンヒーター選びの正解を、専門家の視点から詳しくお伝えします。
ネット上のガスファンヒーターの畳数表記は「温暖地・断熱材なし」

ネット通販での畳数は、「木造○畳/コンクリート造○畳まで」と表記されていることが一般的です。これは「温暖地・断熱材なし」という最も厳しい条件を基準にしています。
カタログに大きく書かれた畳数目安は、実は日本中のどこでも同じように使える数値ではありません。 日本ガス石油機器工業会(JGKA)の基準では、日本を「温暖地」と「寒冷地」の2つに分けています。
基準となっているのは、東京や大阪、名古屋といった「温暖地」の建物条件です。 しかも、壁に断熱材が入っていない古い家を想定して数値化されています。
ネット上の表記のベースは「温暖地」
多くのサイトで紹介されている畳数は、室内外の温度差が15℃であることを前提としています。
冬の外気温が5℃のときに、室内を20℃まで上げる能力を指しています。
温暖地では「断熱材なし」という厳しい想定
メーカーの自主基準では、温暖地は単板ガラス窓で断熱材が入っていない建物をベースに数値を算出しています。 イメージは昭和の古い木造住宅です。
これは、どんなに性能が低い家でも最低限温まるようにするための配慮です。温暖地で平成以降の住宅に住んでいる方は、この数値以上に広い範囲を温めることが可能です。
温暖地におけるガスファンヒーターの選び方

関東以西の太平洋側にお住まいの方は、基本的には温暖地の基準を使用しましょう。
温暖地で断熱材が入っている住宅の場合、カタログ表記から補正計算を行うことで適切な能力がわかります。
最近の戸建てやマンションの多くは、壁や天井にしっかりと断熱材が施されています。 そのため、ネットの畳数表記をそのまま鵜呑みにすると、必要以上に大きな能力を選んでしまう可能性があります。

以下の3つのステップに沿って、ご自宅の「真の必要畳数」を割り出してみましょう。
手順①:部屋の畳数から必要な「暖房能力(kW)」を確認する
まずは暖めたい部屋の畳数に対し、「暖房能力(kW)」を確認します。
以下の表は、温暖地において「断熱材なし・1重窓」の建物で必要な最大熱量(kW)をまとめたものです。
| 部屋の広さ | 木造(鉄骨造)[kW] | コンクリート造[kW] |
| 6畳 | 2.4 | 1.7 |
| 7畳 | 2.8 | 2.0 |
| 8畳 | 3.2 | 2.3 |
| 9畳 | 3.6 | 2.6 |
| 10畳 | 4.0 | 2.9 |
| 11畳 | 4.4 | 3.2 |
| 12畳 | 4.8 | 3.5 |
| 13畳 | 5.2 | 3.8 |
| 14畳 | 5.6 | 4.0 |
| 15畳 | 6.0 | 4.3 |
| 16畳 | 6.4 | 4.6 |
| 17畳 | 6.8 | 4.9 |
| 18畳 | 7.2 | 5.2 |
| 19畳 | 7.6 | 5.5 |
| 20畳 | 8.0 | 5.8 |

鉄骨造の場合は外気の影響を受けやすいので、「木造」の基準を使うことを推奨します。
手順②:断熱材がある場合は1.2で割る
あなたの家が平成以降に建てられたり、断熱リフォーム済みであれば、先ほどの「kW」を1.2で割ります。
10畳の部屋に対して、本来必要な4.0kWの能力がある場合、4.0 ÷ 1.2 = 約3.3kWとなります。 この「3.3kW」という数値が、実際に必要とされる熱量です。
手順③:計算で得られたkW「以上」のモデルを選ぶ
最後に、計算で導き出したkW以上の暖房能力を持つモデルを探します。
先ほどの例で「3.3kW」と出た場合、3.3kW以上の出力がある機種を選択します。

ただし、 計算で求めた数値はあくまで最低ラインと考え、ゆとりを持つことが失敗しないコツです。
寒冷地におけるガスファンヒーターの選び方

寒冷地は外気温が氷点下になるため、室内外の温度差を30℃以上と非常に大きく見積もる必要があります。 なのでネット通販の温暖地基準の表記は、寒冷地では使用できません。
まずは暖めたい部屋の畳数から必要な暖房能力(kW)を逆算します。
手順①:暖めたい部屋の畳数から暖房能力(kW)を逆算する
- 木造(鉄骨造):部屋の畳数 × 0.4 = 必要能力(kW)
- コンクリート造:部屋の畳数 × 0.25 = 必要能力(kW)
例えば、寒冷地の木造10畳の部屋なら、10 × 0.4 = 4.0kW がベースラインとなります。

なお、この寒冷地の計算式は2重窓と断熱材が入った住宅が前提です。寒冷地で古い木造住宅の場合はこの基準よりも大幅に暖房能力(kW)が高いモデルを選びましょう。
手順②:高断熱住宅の場合、木造1.2/コンクリート造1.5で割る
もしあなたの住まいが以下の基準を超える高断熱住宅であれば、さらに負荷を軽減できます。
【木造(鉄骨造)】2重窓・断熱材(グラスウール)75mm以上の戸建て
【コンクリート造】2重窓・断熱材(ポリスチレンフォーム)30mm以上の集合住宅
この基準以上の住宅であれば、手順①で求めた暖房能力(kW)を、木造(鉄骨造)なら「1.2」、コンクリートなら「1.5」で割った能力のもので足ります。

断熱材の種類や厚さが分からない場合は、手順①で求めた暖房能力(kW)以上のモデルを選ぶことを推奨します。
手順③:計算で得られたkW「以上」のモデルを選ぶ
最後に、計算で導き出したkW以上の余裕をもった暖房能力を持つモデルを探します。
ガスファンヒーターの暖房能力は「多少大きめ」がベスト

ガスファンヒーターは能力を柔軟にコントロールできるため、余裕のあるサイズを選ぶのがお勧めです。

なぜ大きめを選ぶべきなのか、その理由を建築士の視点で解説します。
能力を小さく可変できるメリット
最近のガスファンヒーターは、室温に合わせて火力を自動で絞る機能が優秀です。
温まった後は最小燃焼で室温を維持するため、大きい機種でもガス代が跳ね上がることはありません。 必要な時だけ大パワーを使い、安定したら出力を抑えることができます。
朝一番の立ち上がりスピード
能力に余裕があれば、冷え切った朝のリビングを数分で快適な温度まで引き上げます。
能力不足の機種で長時間フル運転させるより、パワーのある機種で一気に温める方が効率的です。 「早く温まる」という快適さを得るために、ワンランク上の出力を選びましょう。
【暖房能力(kW)別】一級建築士おすすめのガスファンヒーター

算出されたkWに対し、最大能力がそれを上回るモデルを選ぶのが鉄則です。
ガスファンヒーターは、最大出力が大きいほど「速暖性」に優れます。 一方で、設定温度に達した後は自動で火力を絞るため、大きめを選んでも無駄なガス代はかかりません。
ここでは、一般家庭で主流となる3つのパワーランク別に、プロが厳選したモデルをご紹介します。
【2.4kWクラス】個室やキッチン、高断熱な小部屋に
計算結果が2.4kW以下となった場合に最適なコンパクトモデルです。
このクラスは、本体サイズが非常に小さく、置き場所を選ばないのが最大のメリットです。 子供部屋やキッチンなど、限られたスペースを効率よく温めるのに適しています。 パワーが控えめな分、ガスの消費量も少ないため、特定の個室用として非常に経済的です。
①【2.4kWクラス】リンナイ ガスファンヒーター RC-Y2402PE-13A(都市ガス)

image : Amazon
2.44kW(温暖地で木造7畳/コンクリート造9畳まで)の定番モデル。プラズマクラスター搭載で、冬場の浮遊菌や静電気対策も同時に行えます。
②【2.4kWクラス】ノーリツ ガスファンヒーター GFH-2406S-W5-12A13A(都市ガス)

image : Amazon
同じく2.44kW(温暖地で木造7畳/コンクリート造9畳まで)モデル。キッチンや子供部屋などパーソナルユースに適したコンパクトサイズです。
【4.0kWクラス】高断熱住宅の一般的なリビングに
計算結果が4.0kW以下となった場合に採用すべき、汎用性の高いモデルです。
断熱材が入った最近の一般的なリビングに多く採用されているのがこのクラスです。
①【4.0kWクラス】リンナイ ガスファンヒーター RC-Y2402PE-13A(都市ガス)

image : Amazon
4.07kW(温暖地で木造11畳/コンクリート造15畳まで)の定番モデル。部屋の暖めすぎを防ぎ、効率よく暖房をおこなう「エコ機能」を搭載。
②【4.0kWクラス】ノーリツ ガスファンヒーター GFH-4007S(プロパンガス)

image : Amazon
4.07kW(温暖地で木造11畳/コンクリート造15畳まで)のLPガスモデル。暖め過ぎないように、室内温度と体感温度を考慮して自動で燃焼量を調節できます。
【5.8kWクラス】広いLDK、築古の戸建てに
計算結果が5.8kW以下となり、大空間を一台で温めたい場合や古い木造住宅で選ぶべきハイパワーモデルです。
古い木造住宅や、吹き抜けがあるリビング、あるいは断熱材の乏しい鉄骨造などには、このクラスが必須です。 パワーに余裕があるため、常にフル稼働させる必要がなく、静音性が高い状態で運転を続けられるのも隠れたメリットです。
①【5.8kWクラス】リンナイ ガスファンヒーター RC-N581PE(都市ガス)

image : Amazon
5.81kW(温暖地で木造15畳/コンクリート造21畳まで)の定番モデル。プラズマクラスター搭載で、冬場の浮遊菌や静電気対策も同時に行えます。
②【5.8kWクラス】ノーリツ ガスファンヒーター GFH-5803S(都市ガス/プロパンガス)

image : Amazon
同じく5.8kW(温暖地で木造15畳/コンクリート造21畳まで)のモデル。通常のスポット暖房に加え、さらに遠くまで温風を届ける「スポット足暖」を搭載しています。
まとめ:最適なガスファンヒーターを選ぶために
ガスファンヒーター選びの正解は、単なる「部屋の広さ」ではなく、地域と住宅の断熱性能を正しく掛け合わせることにあります。
ガスファンヒーターは、設定温度に達すると自動で火力を絞るため、大きめの機種を選んでも無駄なガス代はかかりません。 むしろ、余裕のある「5.8kWクラス」などを選ぶことで、朝一番の速暖性が高まり、生活の質が劇的に向上します。
自身の住まいの性能を正しく把握し、計算に基づいた確かな一台を選ぶことで、この冬を最高に暖かいものにしてください。



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